ザ・クロマニヨンズ|THE CRO-MAGNONS|雷雨決行 ~ ナンバーワン野郎!

  • 先月
雷雨決行
(作詞・作曲:甲本ヒロト)

10枚目のシングル。2011年12月14日、自身のレーベルHAPPY SONG RECORDSからリリース。
ザ・クロマニヨンズの音楽は、僕らの胸に限りなく真っすぐ響く。だがその中身は、けっして単純な一直線でできあがっているわけじゃなく、むしろ気持ちの繊細な揺れをひとつひとつ上下左右に捉えながらジグザグに進む。ヒロト作の新曲“雷雨決行”は、掻き鳴らされるギターの嵐をかいくぐって声とビートが立ち上がってくる決意の1曲である。だがその歌詞は、《言いそびれた事があるけど》という迷いのフレーズで幕を開ける。そしてその先に《やり残した事などないぜ》という一見矛盾した強がりが来て、さらには《とにかく出口が欲しかった》という弱音を吐いたのちにようやく、《合言葉は雷雨決行/嵐に船を出す》という決意へと辿り着く。つまりこの曲は、決意の曲であると同時に迷いの曲でもある。言い換えれば、決意の前には必ず迷いという過程があり、その迷いとともに転がり続けることで決意のロックンロールは生まれていくということだ。単にポジティヴな言葉を並べただけの雰囲気メッセージソングとはまったく次元が異なる。何度でも迷い続け、その度ごとに決意し続ける。ロックの真髄である。

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ナンバーワン野郎!
(作詞・作曲:真島昌利)

9枚目のシングル。2011年9月14日、自身のレーベルHAPPY SONG RECORDSからリリース。
井上雄彦が『バガボンド』の主人公である宮本武蔵を描くカップヌードルのCMで、バックに流れていたのが“ナンバーワン野郎!”。今はトランスフォーマーよりは少しレトロな、ガンダム風の巨大ロボットがヤカンを持って立ち上がる映像になったが、曲は同じだ。ミッドテンポのシンプルなロックンロールで、瞬発力ではなく持久力を引き出すように《やる事は わかってる 立ち上がる》と歌うヒロトに、「よーし!」と腹の底から声を出して応えたくなる。
具体的な示唆や提案ではなく、「自分のことは自分で決めろ」と投げ掛けるところが、ヒロト・マーシーの十八番。詞・曲はマーシーだ。彼の曲には過去にも“天国野郎ナンバーワン”“さすらいのニコチン野郎”など「野郎」が登場しているが、男気みたいなものの代名詞と受け取れる。この曲が大震災前に書かれたとしても、今行動を促す曲なのは間違いない。最後に響くマーシーと思われるシャウトが最高だ。

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