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00:00泥だらけでもへっちゃらみんな楽しそう子供たちが遊ぶここ実は3メーター4メーターぐらいあるセイタカアワダチソウでイノシシの巣だったりたくさんあるようなところでしたね
00:25草が根を張り土も硬い耕作放棄地復活させたのが牛たちの力放牧したらこんなにきれいに長崎で他にはない農業を始めたのが今回の主人公
00:55森川放牧畜産の森川薫さんと妻の直美さん。
01:01なんか牛とともにこうこういう土地をよくしていけたらなっていうのが今あります牛を何か肉にするためだけの畜産っていうのはもう正直あんまりやりたくはない。
01:18そんな2人の下で育った牛は
01:24ミシュラン一つ星シェフも惚れ込むほど
01:28さっぱりしてて軽さがあります。翌日もまた食べたくなるような牛肉だと感じてます。
01:36さらに牛を見てきた町の人は
01:40それ見た時にもう涙が出てきてる。
01:46育て方に感動して泣いちゃう。どんな飼育法だろう。
01:52今日ご紹介する森川畜産さんのお肉。今ではたくさんのファンの方がいて売り出すとすぐにソールドアウトになってしまうそうです。ところがかつてはあそこは馬場牛とボロ牛しかいないと陰口をたたかれたことも。そこが森川さんの原点でした。
02:15世界を良くしたいというバトン。受け取って走るランナーたち。
02:28長崎県海沿いの町、西海市。
02:34ここで牛を育てる森川放牧地区さん。
02:40あ、いたいた。親子かな。
02:43ここで今3年目かな。はい。3年目ですね。で、だいぶ草のステージが上がってきて。
02:53牛を放し飼いにしているここ。実は森川さんの土地ではなく、地主さんから無料で借りている元田んぼ。
03:05地主さん。かつては長い間、この土地のことで困っていたそう。
03:14荒れ放題だったもんですから、もうそこに住みついたイノシシなんかがいっぱいいて、それでもう周りで耕作しているところにも被害が出てたんですけど。
03:26獣害に悩まされ、田んぼをやめていた竹野さん。すると、自分の荒れた田んぼのせいで、さらなる獣害が起きるという負の連鎖が。
03:39そんな時森川さんから土地を貸してほしいと相談があった多くの畜産農家さんは牛舎で飼ってるけど森川さんは365日こうして牛を放しておく以前はこんなに荒れ果てて人間の手に負えないほどの固い草。
04:08それを牛がみるみる食べてくれて、今では。
04:15おかげで見てわかるように今はきれいになっています。
04:19いつの間にかレンゲ草が今、花が咲いているのでもう嬉しいですね。
04:25そこで竹野さん、決心。
04:29牛に草食べてもらったところをまた改めて、今年お米も少ない時代になってきているので、今年からまた田んぼを再開する予定です。
04:44牛がいればイノシシも来ない。また米作りを再開するそう。
04:51青牛30頭。
04:55子牛10頭を飼っている森川さん。
04:58再開市の3カ所。
05:01東京ドーム5個分の工作法基地で放牧。
05:05毎日お世話のために回っている。
05:12さっきの元田んぼから車でおよそ30分。
05:17借りている放牧地はこんな山の斜面にも。
05:22もともとみかんを栽培していた段々畑で、1年前から放牧をスタート。
05:29みかん畑じゃなくなって、この雑木がびっしり生えてたんですよ。
05:36先に牛を入れて、その後にチェーンソーで切っていって、これだけ開けてるんですけど。
05:43だから重機も使ってないです。これだけ開くので。
05:47すごい。
05:49牛パワー。
05:51すごい。こんなにきれいに。
05:57欠かせないのが、生え放題になっている木の間伐。
06:03やっぱり木が茂ってたら、火が入らないと草が生えてこないんで、そういった木を切って。
06:10で、まあ木を切ったら牛たちが寄ってくるんですよね。
06:14え?牛が寄ってくる?
06:18うーん。
06:26本当だ。
06:28うーん。
06:30うーん。
06:32木の葉っぱとかも食べてくれるっていうことで、またこの食べてくれたらまたこの木も枯れるのが早くて。
06:42その食べた草をまたフンとして落として、そこからまたフンから新しい草が生えてくる。
06:50っていうこの何か循環がはい。
06:56光が届いて森が元気になるしエサとなる草も増えるんだそう。
07:06森川さん健康維持のためにこんな餌も毎日欠かさないそう。
07:29地元のお店から出る食品廃棄物を発酵させた、とってもエコな餌。これが優れもの。
07:52牛も町内環境も良くなるし、食べてくれた牛の糞がやっぱり土が良くなって、微生物が増えていって、1年後、2年後ぐらいの草がまた栄養が変わるっていうような草に変わりますね。
08:10牛さんにだけじゃなく土にもいい。
08:18そんな森川さんの飼育法、モットーがある。牛を肉にするためだけの畜産っていうのは、もう正直あんまりやりたくはない。
08:34牛の寿命が20年ほどなのに対して、一般的な肉牛は2、3歳でお肉に。
08:42でもここでは。
08:44最高ですね。最高。19歳。19歳いましたね。で、その子もちゃんとお肉になるまで。はい。頑張ってくれて。
08:56森川さんは、基本的に赤ちゃんを産んで、寿命をある程度全うした15歳くらいの牛だけをお肉に。
09:10目指しているのは、なるべく牛に健康的で幸せな人生を送ってもらう、アニマルウェルフェアと呼ばれる畜産の在り方。
09:21今、世界的にも大事にしようと言われているんだよ。
09:29こだわりの牛。出荷も森川流で。
09:33ボロ牛場、ババ牛場とか言われながら、あの、競りで落札されるっていう、なんか、それがもうなんか虚しくって、もう市場に、そうやって売りたくはないと思って、まあね、この子たちがどこに行くのかもわからないし、自分たちの手で、最後までっていう、あれです。
09:58自分たちの手で買ってくれる人へ。その一人が深田さん。
10:13ミシュラン一つ星シェフも惚れ込み、肉の味を生かしたおいしい料理を日々開発している。
10:25運動している油ですので、人工的なものじゃないので、非常にさっぱりしてて、軽さがあります。
10:32肉のレベルというか、飲み込むとき、あとは、まあ、咀嚼しているときももちろんなんですけど、飲み込んだ後とか、あの、非常にクリアで軽くて、食べ応えがある。全部をなんか、まかなっているような感じがします。
10:47さらに、オンラインショップや街の物産館でも販売。
10:54この日も、地元の人が。
11:01カタロースもおいしいですよ。
11:08これめっちゃおいしかったです。なんて言っても安心感が一番ですね。応援してます。時々私も行ってます。行けるときは。
11:22なんと、森川さんに賛同した街の人がお手伝い。
11:27時には、長崎県外からもボランティアさんが。
11:37地元の子供たちも。
11:41よく来るんですか?
11:43はい。もう、ほとんどです。ほとんど。自然と遊べるみたいな。
11:49なんか、楽しいです。めちゃくちゃ。
11:54なんか、きれいになっているところを見て、気持ちいい。
12:02物産館を営む、松尾さんもお手伝いの一人。
12:07忘れられない光景があるそう。
12:10ストレスがなく、育ててるじゃないですか。育てて、勝ってるじゃないですか。
12:16で、最後の、出す瞬間とか。
12:19あの、カオルさんと、あと、牛さんの、そのなんちゅうのな、お互い信頼関係もあるとやろうけど、それで、よしと、その牛も覚悟ができてからの出荷だから。
12:32だから、だから、トラックに乗るときも、スーッていくんで。普通の牛さんだったら嫌がるじゃないですか。スーッていくんですよ。
12:41そして、食肉センターに着いてからも、スーッていくんですよ。
12:46どうも言いますよ。私、それ見たときに、もう涙が出てきて。
12:51大事な命を、最後までちゃんと、なんかつないでいかなきゃっていう気持ちで、お店でも売ってますけど。
13:00豊かな大村湾が再生できる。
13:04えっ森川さんの放牧海も助けるの?
13:23森川さんの放牧海は、耕作放棄地の厄介な草木を減らすだけじゃない。
13:38こちらは、放牧を始めてまだ1年ほど。
13:45この辺り一帯は沼地。
13:48実は1年前は、赤い沈殿物が大量に。
13:56しかも。
13:57もう、匂いとかもすごく多かったんですよ。
14:00もう今は?
14:02もう、匂いはしないです。はい。
14:05耕作放棄地では、雑草や落ち葉が地面を覆って、土が酸欠状態になることも。
14:15その環境を好むバクテリアが、あの赤サビ色や匂いの原因なんだそう。
14:24でも、牛が草木を食べ、歩くことで、土に酸素が入り、どんどん良くなってきた。
14:34そんな耕作放棄地の影響は離れたところにもここの水の調査をしているのはなんと海の研究者海藻の神様とも呼ばれる新井先生。
14:56やぶかしていた時は、いっぱい落ち葉が積もって、風で飛ばないんですよ。
15:01そうすると、水が染みない山になって、そうするとね、海底から、あの、アミノ酸とかね、酸素の入った水が湧かなくなるんですよ。
15:11山から酸素や栄養を海に運ぶ地下水。
15:18土が悪くなると、雨が染み込みにくくなって、大事な地下水が減っちゃうんだって。
15:26そうすると急激にアサリがいなくなったり、クルマエビがいなくなったり、いろんな海洋生物がいなくなります。
15:35驚いた。耕作放棄地が海まで壊しちゃうんだ。
15:41こういうね、耕作放棄地の再生、森の再生ですね。
15:46水が染みて、山のね、養分が海の底から湧くわけです。
15:51その結果ね、豊かな大村湾が再生できる。
15:55研究者も注目する飼育法。
16:00でも、始めた頃は大変だったそう。
16:05夫のカオルさんは、もともと大工さん。
16:10妻のナオミさんの実家が家畜省を営んでいたことで興味を持ち、10年前、この道に。
16:18私のことを本当にこう、極めたいっていうんですかね。
16:22極めていきたいなって思いました。
16:26その思いから、こだわったのが放牧。
16:31理想の地を求めて、再開市に移住した。
16:37廃墟になっていた牛舎の近くで、キャンプのような生活をしながら、自力で生活の基盤を整える日々。
16:48周りには耕作放棄地が多く、放牧地として活用できると思った。
16:57でも、街の人から。
17:01牛脱走したら、襲ってくるんじゃないかとか。
17:04森川さん夫妻が移住した当時、許可を得て、耕作放棄地で放牧しようとすると、一部の人から発見。
17:33一部の人から反対の声が。
17:36放牧されているような牛は、見たことないと言って、やっぱり牛のイメージは、噴が臭いとか、牛舎で飼われているところのイメージで、やっぱり、大丈夫かな。
17:48牛脱走したら、襲ってくるんじゃないかとか。
17:53そこで、根気強く説明して回ると、徐々に理解してもらえるようになった。
18:01移住して6年。
18:04今では、耕作放棄地の地主さんから、放牧を頼まれることも。
18:11応援してくれる人も増えたんだそう。
18:14こうやってお肉を売らせてもらったり、全国の方からご支援とかも、もちろん手伝いとかも来てもらって、なんとかなんとかですけど。
18:29肉の売り上げだけではやっていけないので、全国からの寄付や、多くの人のボランティアで成り立っている。
18:42今はまず、売り上げよりも、この放牧を確立させたい。
18:49自分たちができることって言ったら、この循環を伝えていったりとか、こういった活動の輪が広がっていったら、持続可能な若い次の代にバトンが渡せるのかなと思います。
19:06すでに、東京ドーム5個分の土地を整備できたそうですよ。
19:11全国で増え続けている、耕作放棄地を救う方法の一つですね。
19:17それに、愛情たっぷりで育ったお肉は美味しい。応援しています。