• 5 年前
映画『典座 -TENZO-』予告編

福島と山梨に生きる二人の若き僧侶の苦悩。そして青山俊董との対話。3.11以降の現代日本における“仏教”、そして“信仰”とは?空族・富田克也最新作『典座 -TENZO-』。

10年前、本山での修行を共にした兄弟子の隆行(リュウギョウ)と弟弟子の智賢(チケン)は福島と山梨のそれぞれのお寺に戻った。智賢は、住職である父と、母、妻、そして重度の食物アレルギーを抱える3歳の息子と共に暮らしている。一方の兄弟子・隆行は福島県沿岸部にあったかつてのお寺も、家族も檀家も、すべてを津波によって流されてしまい、今では瓦礫撤去の作業員として、ひとり仮設住宅に住みながら本堂再建を諦めきれずにいた――。

この度、解禁された予告編の冒頭には、曹洞宗の高僧、青山俊董が「私自身は誰にもこの命にも差し上げていない。その私が一日生きるだけにどれだけの命を頂戴しているかわかりません」と告げるシーンから幕を開ける。今回、全国曹洞宗青年会から依頼を受け、映画の製作にあたった富田監督は、僧侶たちに「今、一番話を聞いてみたい曹洞宗の高僧はいますか?」と尋ねた。その時に名前が挙がったのが青山俊董だった。本作は、その青山と智賢の対話が映画の随所に挿入されている。

映画のタイトルである「典座」は、禅宗において“食”を司る役職。そこから端を発し、現代社会において仏教、そして信仰がどのような役割を果たすのか。そして、3.11以後の日本の姿を鋭く捉える富田克也監督の最新作に益々の期待が高まるところだ。
2019年10月4日公開

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