Spirit Chronicles [Episode 1 - 4]

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Spirit Chronicles
Seirei Gensouki
Episode 1 - Episode 4

Transcript

00:00:00どうして?どうして行っちゃうの?

00:00:03はるくん、行っちゃやだよ!

00:00:05兄ちゃん、泣くなよ

00:00:07きっとまた会えるから、な?

00:00:09やだよ!行かないでよ、はるくん!

00:00:13ねえ、なんで?どうして?

00:00:19俺、大きくなったら迎えに行くから

00:00:21だから、だからその時は結婚しよう!

00:00:24そしたらずっと、ずっと、ずっと、ずっと

00:00:27そばにいて、死んでもミーちゃんのことを守るから

00:00:57そしたらずっと一緒にいて、ずっとそばにいて、死んでもミーちゃんのことを守るから

00:01:06ダメかな?

00:01:09はるくん!

00:01:11はるくん!

00:01:13はるくん!

00:01:15はるくん!

00:01:17はるくん!

00:01:19はるくん!

00:01:21はるくん!

00:01:23はるくん!

00:01:25この…

00:01:27する!する!

00:01:29はるくんと結婚する!

00:01:49ここは…

00:01:51どこだ?

00:02:22孤独と反対の言葉探していたきっとそれは

00:02:35記憶の中にあるささやかだけど

00:02:41繰り返す毎日に君がいること

00:02:47街を彩る花束とハミング

00:02:53振り返れば気付けたんだ一人じゃない

00:02:59指でなぞった物語より

00:03:05新しい自分になるI don't want to be sorry

00:03:11見たことのない新たな色彩で染めて

00:03:19遠く離れても君に届けたい

00:03:35俺は…リオン?

00:03:38ヒアリー!

00:03:45ハルト!

00:03:46なぜ決めるべきところで躊躇した?

00:03:49いや…

00:03:51甘顔ハルトか…

00:03:59兄ちゃん…

00:04:03何なんだこの記憶は

00:04:06俺はバスに乗っていては…

00:04:08バス?

00:04:09バスって…

00:04:11熱で頭がおかしくなっちまったのか

00:04:14俺…

00:04:17リオ!

00:04:18君目が覚めたのか?

00:04:20てか生きてたのな

00:04:22もう死んでる頃かと思ってたぜ

00:04:25全くしぶといガキだな

00:04:27昨日は熱でフラフラしてやがったくせに

00:04:31おい!

00:04:32それは部屋の隅に置いておけ

00:04:35テーブルも丁重に扱えよ

00:04:37はい!

00:04:40にしても金貨十枚は美味しかったっすね

00:04:44ただの荷運びで金貨十枚だ

00:04:47ろくなにじゃねえだろうがね

00:04:51確かに

00:04:53うまそうだな

00:04:56お腹減った

00:04:58アイリア!

00:04:59はい!

00:05:00おめくせえぞ

00:05:02体洗ってこい

00:05:03飯がまずくなる

00:05:05すみません

00:05:23天川春人は日本という国の二十歳の大学生だった

00:05:28そしておそらく交通事故で

00:05:31死んだ

00:05:32交通事故

00:05:34なんだそれ

00:05:35意味がわからない

00:05:37いや、わかるけど

00:05:40やめだ!

00:05:41俺はリオ

00:05:42母さんの仇を討つために

00:05:44今日までこの薄汚いスラム街で生きてきた

00:05:47ねえ母さん

00:05:49どうして僕と母さんの髪は黒いの?

00:05:52それはねリオ

00:05:54私とお父さんが遠い場所からやってきたからかな

00:05:58遠い場所に住んでる人はみんな髪が黒いの?

00:06:02ええ

00:06:03お父さんもおじいちゃんやおばあちゃんの髪も黒かったわ

00:06:07ええ

00:06:08僕いつかおじいちゃんやおばあちゃんと会ってみたいな

00:06:12そうね

00:06:14あなたが大きくなったら連れて行ってあげるわ

00:06:17ヤグモ地方っていうのよ

00:06:19ほんと?約束だよ!

00:06:22ええ約束

00:06:25いや

00:06:28母さん

00:06:34おいそこの

00:06:36臭い

00:06:38あまり近づかれない方がよろしいですわ

00:06:41お体に悪いございます

00:06:43なんだこいつら

00:06:45おい聞いているのか?

00:06:48聞いてますけど

00:06:50薄紫色の髪をした少女を見なかったか?

00:06:54年齢はお前と同じくらいだ

00:06:56正直に話しなさい

00:06:58さあ

00:06:59皆様そんな聞き方じゃ答えてくれないと思いますよ

00:07:03セリア君

00:07:05ここは私に任せてください

00:07:07バネッサ様

00:07:09驚かせてしまってごめんなさいね

00:07:11お名前はなんていうのかしら

00:07:13あ私の名前はセリアよ

00:07:16リオ

00:07:18リオ?珍しい名前ね

00:07:21移民の子なので

00:07:23だから髪の色が黒いのね

00:07:26ところでリオ聞きたいことがあるんだけど

00:07:30薄紫色の髪の少女ですか

00:07:33見ていません

00:07:35そっかこの先ってスラム街なのよね

00:07:39そうですよ

00:07:40広い?

00:07:42どういう意味ですか

00:07:44その子を探しに行かないといけないの

00:07:47やめた方がいいですよ

00:07:50あなたみたいな良い服を着た女の人が入る場所じゃないです

00:07:54良い服?

00:07:57えっとスラム街に暮らす女性はどんな服を着ているの

00:08:02どんな服って

00:08:04平民が着ている服をボロボロにしたような服ですよ

00:08:08なるほど

00:08:09セリア君

00:08:11ならば一度衣類を変えてから出直そう

00:08:14何を言っているのよ急がないとあの子が

00:08:17そうですわ

00:08:18しかし我々は非正規で動いているのです

00:08:22下手に動いて騒ぎになるのは

00:08:24クリスティナ様も望むところではないでしょう

00:08:28では早く戻って服を

00:08:32セリア君念のためにこの付近の魔力反応を探ってくれないか

00:08:38ちょっと待ってください

00:08:41エリア

00:08:44エリア

00:08:46探し

00:08:56なんだこれ

00:08:59あら君

00:09:01その子供がどうかしたのか

00:09:03あの子の体から結構な魔力が溢れているみたいです

00:09:07魔術を使う素質がありますね

00:09:11古事にもそういったものがいるのだな

00:09:14そいつに魔力が

00:09:16魔力

00:09:17この変な光が魔力なのか

00:09:20で他の反応は

00:09:22ありませんね

00:09:24探索に引っかかった魔力反応は私たちとあの子だけです

00:09:28そうか

00:09:30やはりあの中でしょうか

00:09:33もしかして

00:09:34あの人たちにはこの光が見えていないのか

00:09:38そうですね

00:09:41これ

00:09:43情報量だから受け取って

00:09:47それじゃあね

00:09:49ありがとう

00:09:56大銀貨こんなに

00:10:09ん

00:10:11ん

00:10:21ただいま戻り

00:10:24ん

00:10:30ん

00:10:32ん

00:10:34ん

00:10:36ん

00:10:38ん

00:10:40ん

00:10:42ん

00:10:44ん

00:10:46ん

00:10:48ん

00:10:50ん

00:10:52ん

00:10:54なんだこいつ

00:10:56あると

00:10:58ん

00:11:00時間がない

00:11:02魔力の使い方

00:11:04教えるから

00:11:06感覚で覚えて

00:11:08魔力の使い方って

00:11:12感覚をとりすませて

00:11:14体から光が

00:11:16出ているでしょう

00:11:18その光を使って

00:11:20あなたの身体能力と

00:11:22肉体の強度

00:11:24強くする

00:11:26そう言いましょう

00:11:36エンチャントフィジカルアビリティ

00:11:40ん

00:11:42ん

00:11:44ん

00:11:46ん

00:11:48ん

00:11:50ん

00:11:52ん

00:11:54ん

00:11:56ん

00:11:58ん

00:12:00ん

00:12:02ん

00:12:04ん

00:12:06何もんだ

00:12:08ん

00:12:10ん

00:12:12ん

00:12:14ん

00:12:16ん

00:12:18ん

00:12:20ん

00:12:22あっ

00:12:35な、なんだ?

00:12:41やっぱり

00:12:46今外すからちょっと待って

00:12:49た、助けてください

00:12:52私をお城に連れて行ってもらえませんか?

00:12:56お城?

00:12:58お願いします

00:13:00父に行ってお礼をしますから

00:13:04父に行って?

00:13:09お、おい

00:13:10はい

00:13:16この子、さっきのセリアって人たちが探してた女の子だよな

00:13:29あ、あんた!待ちなさい!

00:13:32クリスティーナ様、お待ちください

00:13:37あんた嘘ついていたのね!

00:13:39フローラ!フローラ!

00:13:41バネスさん、フローラを

00:13:44はい

00:13:45妹を誘拐して何をする気だったの?

00:13:48は?ち、違う!

00:13:50俺はその子に頼まれて

00:13:52頼まれたですって!?

00:13:54落ち着いてください、クリスティーナ様

00:13:56私は落ち着いているわ

00:13:58でも、この子が

00:14:00セリア君、ロアナ君、フローラ様を頼む

00:14:03気を失っておられるが、小無事のようだ

00:14:06はい、わかりましたわ

00:14:08詳しく話してくれないか?

00:14:10だから、俺はその子に頼まれ

00:14:13嘘おっしゃい!

00:14:14フローラが誘拐してくれなんて頼むはずないわ!

00:14:18人の話は最後まで聞いてくれ

00:14:21痛い!

00:14:22離しなさい!汚らわしい!

00:14:27その手を離せ

00:14:29クリスティーナ様も挑発するのはおやめください

00:14:35こいつが悪いのよ!

00:14:37不敬罪にするわ!

00:14:39この少年は、あなた様が王族だと存じません

00:14:43事情を聞く必要もあります

00:14:45なら、さっさと拘束なさい!

00:14:48そういうわけだ、少年

00:14:50城まで同行してもらおうか?

00:14:52嫌です

00:14:54悪いが、これはお願いじゃない

00:14:56命令だ

00:14:58俺はその子を助けただけです

00:15:00目を覚ましたら聞けばいい

00:15:02ダメだ

00:15:04知っていることを、君の口で話してもらう

00:15:08ここでごねたところで、時間の無駄か

00:15:13話をするだけですよ

00:15:15ああ、君の身が潔白であるのなら

00:15:18解放されるはずだ

00:15:22アルフレッド様、息をしている者を発見しました

00:15:26拘束して運び出せ!

00:15:28誘拐犯の一味かもしれん

00:15:30承知しました

00:15:31押すな!下がれ!

00:15:35やれやれ、仕方ありませんね

00:15:43おい、どうした?

00:15:45何事だ?

00:15:48死にました

00:15:50何?

00:16:00どういうことだこれは!

00:16:02話をするだけじゃないのかよ!

00:16:05私は小野江騎士団副団長のシャルル・アルボー

00:16:10これから第二王女誘拐に関する話を聞かせてもらう

00:16:14ふざけるな!

00:16:16私もあまり手荒な真似はしたくないのだ

00:16:20貴様が取調に協力してくれるというのなら

00:16:23今すぐにでもこの状態から解放してやってもいい

00:16:27まずは貴様が第二王女誘拐に加担していたことを認めろ

00:16:32そんなことはやっていない!

00:16:39貴様はフローラ様の誘拐に加担していた

00:16:43そうなのだろう?

00:16:46俺は何もしていない

00:16:51愚かな

00:16:57フローラ様!

00:16:59バネッサ

00:17:01ここは?

00:17:02フローラ様の寝室にございます

00:17:06どうぞこちらを

00:17:08ありがとうございます

00:17:15何がどうなっているのか説明をお願いしてもいいでしょうか

00:17:20実は

00:17:23取調?どうして?

00:17:26少年の供述内容が真実か確認する必要もありましたので

00:17:31なら彼をこの場に呼んでください

00:17:34それは

00:17:36さすがに難しいと申しますか

00:17:39どうして?

00:17:41あの少年は一階の孤児に過ぎません

00:17:44陛下の許可も必要かと

00:17:47なら早く必要な手配をしてください

00:17:50あの方に不自由をさせることは許しません

00:17:53は?承知しました

00:17:55私も参ります

00:17:57セリオ君

00:17:59お願いします

00:18:00よい

00:18:01はい

00:18:04このクソガキが

00:18:06さっさと誘拐犯どものことを吐け

00:18:09これ以上話すことはない

00:18:13貴様!

00:18:17副団長!やりすぎると死んでしまいます

00:18:20うるさい!

00:18:22敬語を任されていた我らこの駅司団が

00:18:25フローラ様を連れ去られたのだぞ!

00:18:27ここで名誉を挽回せねば貴様らもタダでは済まんぞ!

00:18:31しかし

00:18:35一体これはどういうことですか?

00:18:38この駅司団副団長の権限に基づく正式な取調だ

00:18:44私の部下にはその少年の取調は

00:18:47丁重に行えと伝達していたはずですが

00:18:51確かにそんなことを言っていたな

00:18:54そんなことはいいですから

00:18:56早くこの子を下ろしてあげてください

00:18:59ダメだ

00:19:00その子供はフローラ様の誘拐に関わっている可能性が高い

00:19:04当のフローラ様がその少年を恩人だとおっしゃっているのですが

00:19:09な、なに?

00:19:10殿下がお目覚めになったのか

00:19:13そ、そうか

00:19:14それは何より

00:19:16おい、下ろしてやれ

00:19:20大丈夫?

00:19:22そ、それが

00:19:27ご、ごめんなさい

00:19:29すぐ直すから

00:19:30行くぞ!

00:19:32よ、よかった?

00:19:34大丈夫?

00:19:35痛いところはない?

00:19:39あ、ごめんなさい

00:19:41驚かせちゃったよね

00:19:43ここは?

00:19:44王城の中よ

00:19:46大丈夫?

00:19:47大丈夫

00:19:48大丈夫

00:19:49大丈夫

00:19:50大丈夫

00:19:51大丈夫

00:19:52大丈夫

00:19:53大丈夫

00:19:54大丈夫

00:19:55大丈夫

00:19:56大丈夫

00:19:57大丈夫

00:19:58大丈夫

00:19:59大丈夫

00:20:00王城の中よ

00:20:09な、なんで?

00:20:11ごめんなさいね

00:20:12ひどい目にあわせてしまって

00:20:14あなたが直してくれたんですか?

00:20:17ええ

00:20:18私、ベルトラム王立学院で魔法も教えているから

00:20:22セリアよ

00:20:24セリア・クレール

00:20:26覚えてる?

00:20:27エリア

00:20:30情報量だから受け取って

00:20:32ありがとう

00:20:34あの時の

00:20:36ありがとうございます

00:20:38いいえ

00:20:39むしろこっちが謝らないといけない立場だもの

00:20:42ひどい目にあわせてしまってごめんなさい

00:20:46別にあなたが悪いわけじゃないですから

00:20:50それより

00:20:51俺はこれからどうなるんでしょうか?

00:20:53国王陛下に一見してもらうことになったみたい

00:20:57今回の件であなたに直接シャイをお伝えされたいそうだから

00:21:02一見?

00:21:04では申し訳ないのですが

00:21:07一見のマナーを教えていただけませんか?

00:21:10何も知らないまま王様にお会いするわけにはいきませんし

00:21:14もちろん

00:21:15お安い御用だわ

00:21:22よろしくね

00:21:23リオ

00:21:27リオ

00:21:37これより

00:21:38フローラ王女お救いした少年が入場します

00:21:58リオ

00:21:59あなたの学力をまだ把握してないんだけど

00:22:02読み書きはできるのかな?

00:22:04いえ

00:22:05文字は学んだことがないので

00:22:08なるほど

00:22:09じゃあ個人指導してあげる

00:22:11放課後私の研究室に来て

00:22:14図書館棟のチェックをしてくれ

00:22:16はい

00:22:17リオ

00:22:18あなたの学力をまだ把握してないんだけど

00:22:21読み書きはできるのかな?

00:22:23いえ

00:22:24文字は学んだことがないので

00:22:26図書館棟の地下にあるから

00:22:29ありがとうございます

00:22:31あ、それから

00:22:33はい

00:22:34ここは王公貴族の子供たちが多いから

00:22:37その

00:22:40最初

00:22:41リオにはちょっと

00:22:42大丈夫ですよ

00:22:43え?

00:22:44自分の立場がわきまえています

00:22:47お、そう

00:22:49でも困ったことがあったら遠慮なく相談してね

00:22:52はい

00:22:53ようこそ

00:22:54ベルトラム王立学院へ

00:23:03今日から編入生として

00:23:05このクラスの一員となるリオです

00:23:07皆さん

00:23:08仲良くしてあげてくださいね

00:23:11こたびは

00:23:12よくぞ娘を救い出してくれた

00:23:14礼を言うぞ

00:23:15身に余るお言葉

00:23:17驚悦至極に存じます

00:23:19うん

00:23:20では恩賞として

00:23:22ベルトラム王立学院初等部に

00:23:24特待生として迎えよう

00:23:27リオ

00:23:28リオ

00:23:29リオ

00:23:30リオ

00:23:31リオ

00:23:32リオ

00:23:33リオ

00:23:34リオ

00:23:35リオ

00:23:36リオ

00:23:37リオ

00:23:38リオ

00:23:40みんなに自己紹介を

00:23:42はい

00:23:43リオと申します

00:23:45国王陛下のご後輩を賜り

00:23:48この学び屋に通わせていただくことになりました

00:23:51至らない点は多々ございますが

00:23:54よろしくお願いいたします

00:23:56はい

00:23:57使用人程度の口は聞けるみたいだ

00:24:02じゃあリオ

00:24:03そこの席に座ってくれるかな

00:24:05はい

00:24:10はいはい

00:24:11それではみなさん授業を始めますよ

00:24:13今日もしっかり学びましょう

00:24:15はーい

00:24:16うん

00:24:17ノートを開いて

00:24:19この寸式を書き写してくださいね

00:24:25では

00:24:26この問題を各自解いてみて

00:24:28はーい

00:24:31こんなの簡単さ

00:24:34リオ

00:24:36今日は無理しなくていいからね

00:24:38はい

00:24:39お気遣いありがとうございます

00:24:45はいはい

00:24:46みなさんは問題に集中

00:24:49ここか

00:24:51セリア先生

00:24:55ブレードの文字が読めないの

00:24:58すみません

00:25:00読めないもので

00:25:02どうしたの

00:25:03読めない

00:25:04読めない

00:25:05読めない

00:25:10何だこれ

00:25:12誰かが話す

00:25:14声が聞こえない

00:25:15声が聞こえない

00:25:16読めないもので

00:25:18リオ?

00:25:19個別指導の件で伺ったのですが

00:25:22あ、うん、よく来てくれたわ

00:25:25待っていたのよ、うん

00:25:27絶対忘れてたな、これ

00:25:30じゃ、じゃあ中に入って

00:25:33はい、失礼します

00:25:35あ、い、今ちょっとだけ散らかってるんだけど

00:25:41はあ

00:25:42ふ、普段はもっと整理されているのよ

00:25:45待ってて、今スペース作るから

00:25:49難しそうな本がたくさんあるんですね

00:25:52先生すごく若そうなのに

00:25:54え、あ、うん、私まだ12歳だし

00:25:58え

00:25:59本当なら初等部に通っているんだろうけど

00:26:03飛び急で高等部も卒業しちゃったの

00:26:06優秀なんですね

00:26:08ま、まあね、えひひ

00:26:13できました

00:26:15あ、もう?

00:26:17え、すごいわ、全問正解よ

00:26:20しかの暗算であっという間に

00:26:23まあ、簡単な掛け算と割り算ですから

00:26:26数字と記号が理解できてれば

00:26:28簡単?

00:26:29クラスでもできるのはクリスティーナ様くらいよ

00:26:32え、そ、そうなんですか

00:26:35当然だよな

00:26:38俺は大学生だったんだから

00:26:42リオ、算術はどこで習ったの?

00:26:46死んだ母に習いました

00:26:49そう、教養のあるお母様だったのね

00:26:53はい、優しくて温かい人でした

00:26:57ごめんね、思い出させちゃって

00:27:00いいえ、平気です

00:27:02よかった、お茶入れるね

00:27:09どうぞ、召し上がれ

00:27:12いただきます

00:27:15美味しい

00:27:17よかった、美味しいお茶を飲むと

00:27:21幸せってなるのよね

00:27:28リオ

00:27:29はい

00:27:30学院生活初日はどうだったかしら

00:27:33何か問題があったら言ってちょうだい

00:27:36いいえ

00:27:39特には

00:27:41そう、何かあったら

00:27:44え?

00:27:45でしたら一つ

00:27:46何?

00:27:48児童向けの本を教えてくれませんか

00:27:51本?

00:27:53文字を学びたいので

00:27:55うん、図書館でいくつか選んであげる

00:27:58はい

00:28:00ワン、ツー、スリー、フォー、ファイブ

00:28:04ワン、ツー、スリー、フォー、ファイブ

00:28:08鋭く

00:28:09ワン、ツー、スリー、フォー、ファイブ

00:28:12リオ

00:28:13はい

00:28:14私に好きなように打ち込んできなさい

00:28:17わかりました

00:28:22ほう?

00:28:26何だあの構え

00:28:28さあ、来なさい

00:28:30さあ、ハルト

00:28:33遠慮なく来い

00:28:36迷うな

00:28:44いい立ち筋だ

00:28:47ファイブ

00:28:51ハルト、かわさず

00:28:54同時に相手の懐に飛び込め

00:29:03外へ逃げずに相手の方に飛び込みましたが

00:29:06肩も何もあったもんじゃない

00:29:09景品極まりないですね

00:29:12よかった

00:29:15よし、ここまで

00:29:18リオ、お前は騎士に向いている

00:29:21うん

00:29:22あいにくですが、騎士には興味はありません

00:29:26ほう?

00:29:27お言葉ありがとうございます

00:29:30何?

00:29:36リオ

00:29:37はい

00:29:38放課後まで熱心ね

00:29:41もうすぐ期末の試験ですから

00:29:43まだ編入したばかりだし

00:29:45結果をあまり気にしなくてもいいからね

00:29:48はい

00:29:49でも、全力を尽くします

00:29:52大変結構

00:29:56答案用紙は行き渡りましたか?

00:29:58はーい

00:29:59では、始め

00:30:01えっと

00:30:03一つ

00:30:04三つ

00:30:05はーい

00:30:06口を閉じて

00:30:08みんな、頑張って

00:30:24みーちゃん

00:30:28そうなの?

00:30:30みーちゃん

00:30:32みーちゃん

00:30:34みーちゃん

00:30:36なに?そうなの?

00:31:06その前から姿を消すように

00:31:09それが何だって言うんだ

00:31:12天川春人は死んだ

00:31:14今の俺はリオ

00:31:16もう天川春人じゃない

00:31:19だから、生き抜いてやる

00:31:22しぶとく、強く

00:31:25嘘でしょ?

00:31:26まさか

00:31:27あいつが?

00:31:28ありえないわ

00:31:29クリスティーナ様と?

00:31:31わたくしが3位

00:31:33ふざけるな

00:31:34これは何かの間違いだ

00:31:36そうだそうだ

00:31:37やっぱり

00:31:38おい、来たぞ

00:31:39貴様、どんな不正をしたんだ

00:31:41何のことでしょうか

00:31:43あれだ

00:31:44貴様のような下人がクリスティーナ様と並んで学年1位になるなど

00:31:49不正以外考えられない

00:31:511位?

00:31:52絶対薄汚い手を使ったに決まってる

00:31:54私は普通に試験を受けただけですよ

00:31:57嘘つけ

00:31:58およしなさいアルホース

00:32:01殿方の嫉妬は見苦しくてよ

00:32:05傷でなりませんね

00:32:06俺は不正を

00:32:07具体的な証拠でもあるのかしら

00:32:10それは

00:32:11一方的な言いがかりは学院の品位を汚す行為よ

00:32:16しかし

00:32:17今回の結果はリオが努力して勝ち取ったものよ

00:32:20それは私が保証します

00:32:22セリア先生

00:32:24俺は認めないからな

00:32:28行こう

00:32:29うん

00:32:31ありがとうございます

00:32:32別にあなたのために介入したわけじゃありませんわ

00:32:37次は負けませんから

00:32:42リオ

00:32:43期末試験1位おめでとう

00:32:45ありがとうございます

00:32:46本当を言うとね

00:32:48ちょっと心配なの

00:32:50心配?

00:32:51うん

00:32:52これまで以上にあなたに難癖つけてくる生徒たちが出てくるかもって

00:32:57もう慣れましたから

00:32:59あら

00:33:00貴族のいじめってタチが悪いのよ

00:33:04セリア先生は優秀だったと聞きましたが

00:33:07似たようなことが

00:33:08まあ

00:33:09私より家柄がいいこと

00:33:11その取り巻きたちからあれこれとね

00:33:14全部スルーしたけど

00:33:15だと思いました

00:33:16私の場合はお友達もいたから

00:33:19なら俺も大丈夫ですね

00:33:21え?

00:33:22俺にはセリア先生がいますから

00:33:26え?

00:33:28リオ

00:33:29はい

00:33:30馬鹿にしてるんでしょ

00:33:31私のこと子供扱いして

00:33:33先生の方が年は上じゃないですか

00:33:36そうだけど

00:33:38つまり

00:33:39私のこと友達みたいって思ってるってことでしょ

00:33:44はい

00:33:45嫌ですか?

00:33:47嫌じゃない

00:33:50嫌じゃない

00:33:53もう一回お願いします

00:33:57嫌じゃないって言ったの

00:33:59リオの意地悪

00:34:01雰囲気で刺してよもう

00:34:03それじゃあ

00:34:04困った時は先生としても

00:34:07友人としても

00:34:08相談に乗ってくださいね

00:34:11いいわよ

00:34:13リオがいじめられて泣きそうになった時は

00:34:16私の胸を貸してあげる

00:34:18セリア先生は小さいから

00:34:20抱きつくには一滴にちょうど良さそうですね

00:34:23実際言うな

00:34:25まだ伸び盛りだの

00:34:28あらちょうど

00:34:31はい

00:34:34もうリオってな

00:34:37王国に所属する騎士と行われる交流試合が今年も開かれる

00:34:42そこで初頭部の代表選手をこのクラスから選抜した

00:34:47名前を呼ばれた者は前に出ろ

00:34:496年生アルフォンス・ロダン

00:34:52はい

00:34:535年生スティアード・ユグノ

00:34:55はい

00:34:58そしてリオ

00:35:01前へ

00:35:02はい

00:35:05待ってください

00:35:06どうした

00:35:07納得できません

00:35:09こんな下賤な者が代表に選ばれて

00:35:11騎士と交流試合などいい恥さらしでは

00:35:15それにこいつは魔法すら使えない

00:35:18これは決定したことである

00:35:21異論は認める

00:35:22そうして

00:35:28交流試合に出るんだって

00:35:32はあまあ

00:35:34試合で結果を出せば卒業前にでも騎士団にスカウトされることもあるの

00:35:41俺は騎士になるつもりはないですからね

00:35:44リオ

00:35:45はい

00:35:47背伸びたよね

00:35:51もう5年だものね

00:35:55先生

00:35:56何

00:35:57相変わらず小さいですね

00:35:59小さい言うなまだ伸び盛りなんだって

00:36:025年前もそう言ってました

00:36:05お茶冷めますよ

00:36:10いい香り

00:36:13美味しい

00:36:15同じ茶葉なのにリオが入れると香りから全然違うのよね

00:36:20本に書いてある通りに入れてるだけです

00:36:24騎士になるつもりはないって言うけど卒業したらどうするの

00:36:28旅に出ようかと

00:36:30え

00:36:31行ってみたい場所があるんです

00:36:33じゃあこの国を出ていくの

00:36:36この国は

00:36:38俺には居づらいですから

00:36:41そうかもしれないけど

00:36:45ここで働かない

00:36:47ん

00:36:48私リオがいないと色々ダメなの

00:36:50そんなことは

00:36:52ほらここのお片付けこんなに綺麗

00:36:55お茶も美味しく入れてくれるし

00:36:57研究に夢中になりすぎたらたしなめてくれるし

00:37:00それから

00:37:01お気遣いはありがたいですが

00:37:03先生にもいずれご結婚のお話があるのでしょう

00:37:07何突然

00:37:08得体の知れない平民が研究室にいるのは良くないですよ

00:37:13当分結婚する気はないんですけど

00:37:16ま

00:37:17先生の自由だとは思いますが

00:37:19ああ

00:37:20今行き遅れになるなって思ったでしょ

00:37:23セリア先生は見た目が若くて可愛らしいから大丈夫ですよ

00:37:27それ

00:37:28私の容姿が子供だって言ってない

00:37:32いいえ

00:37:33可愛い大人の女性です

00:37:35からかわないでよ

00:37:38はい

00:37:39いやあの

00:37:40リオの行ってみたい場所ってどこ

00:37:43両親の故郷

00:37:44ヤグモ地方です

00:37:47ヤグモ

00:37:48未開地の先にあるっていう

00:37:52はい

00:37:55あなたが大きくなったら連れて行ってあげるわ

00:37:58ヤグモ地方っていうのよ

00:38:00本当

00:38:01約束だよ

00:38:03リオ

00:38:05あ

00:38:06あくまでも予定ですから

00:38:09リオ

00:38:13これより

00:38:14映えある王国の騎士たちと

00:38:16王立学院生との交流試合を始めます

00:38:21将

00:38:22私アルフレッドMRが

00:38:24本日の審判を務めさせていただきます

00:38:26やったー

00:38:27相変わらずリリース

00:38:29MR様

00:38:31ベルトラム王立学院初頭部

00:38:33戦法リオ前へ

00:38:39おい

00:38:40情けない試合はするなよ

00:38:42俺の評価まで下がるからな

00:38:44無様な試合はしないようにいたします

00:38:47貴様に期待など

00:38:48花からしていないがな

00:38:53リオ

00:38:54しっかり

00:38:56よろしくお願いします

00:38:59対するこの駅司団

00:39:00戦法

00:39:01シャルルアルボー

00:39:03学院に編入したことは知っていたが

00:39:05まさかあの時の

00:39:07薄汚い小僧が

00:39:08私の対戦相手とはな

00:39:10その説は大変お世話になりました

00:39:13大してお役に立てなかったようで

00:39:15申し訳ありませんでしたが

00:39:17チッ

00:39:18死後は慎め

00:39:21両名

00:39:22構え

00:39:26お前

00:39:27お前

00:39:28お前

00:39:29お前

00:39:30お前

00:39:32この構えは

00:39:35盾も持たず舐めてんのか

00:39:38走れ

00:39:44リオすごい

00:39:46冷静に受けてみますわ

00:39:48貴様のせいで

00:39:50俺は5年前に口角処分を受けた

00:39:53あの屈辱は忘れん

00:39:56ちょっと

00:39:57生徒を相手に

00:39:58騎士があんなに本気で

00:40:01今だリオ

00:40:03これで終わりだ

00:40:12そこまで

00:40:13勝者

00:40:14学園代表

00:40:15リオ

00:40:16ま、待ってくれ

00:40:18今のは油断していただけだ

00:40:20何

00:40:22次は本気で

00:40:23若者が

00:40:24負けは負けだ

00:40:26アルフレッド

00:40:28アルフレッド

00:40:30シャルル

00:40:31貴様も名誉ある

00:40:32この駅士団なら

00:40:33潔く負けを認めて

00:40:35この場から立ち去れ

00:40:39わ、私の負けだ

00:40:42ありがとうございました

00:40:44うん

00:40:45すごいすごい

00:40:48うん

00:40:50リオか

00:40:52先が楽しみだな

00:40:57くそ

00:40:58忌々しい小僧め

00:41:01本気でやれば

00:41:02俺の勝ちだった

00:41:04ああいった場合では

00:41:06生徒に花を持たせることも

00:41:08ままあります

00:41:09ああ

00:41:10その心を理解せず

00:41:12結局あの後

00:41:13この駅に

00:41:14立ち去ることになった

00:41:16そ、そうなのだ

00:41:17私は花を持たせたのだよ

00:41:19さすがプロキシア帝国の

00:41:20大使殿は

00:41:21わかっておられる

00:41:24それに

00:41:25あなたと対戦した

00:41:26あの生徒

00:41:27うん

00:41:28確かに

00:41:29いい動きをしてました

00:41:32あのガキ

00:41:335年前に

00:41:34フローラ王女誘拐に

00:41:35関わっていると

00:41:36黙されたものでしてね

00:41:38うん

00:41:39あなたは

00:41:40フローラ王女に

00:41:41関わっていると

00:41:42思っていたのか

00:41:43そう

00:41:44黙されたものでしてね

00:41:45うん

00:41:46当時

00:41:47私が厳しく

00:41:48取り調べたのですが

00:41:50とうとう口を

00:41:51洗らなかった

00:41:52おお

00:41:53因縁の相手

00:41:54というわけですか

00:41:55因縁とかって

00:42:00そうか

00:42:01あれが

00:42:02あの時の

00:42:07早く来ないかな

00:42:09戦勝祝い

00:42:10してあげなきゃ

00:42:11あ、レオ

00:42:12レオ

00:42:16どこに行くのかな

00:42:21こ、これ

00:42:22読んでください

00:42:23これは

00:42:24き、昨日の試合

00:42:26すっごく

00:42:27すっごくかっこよかったです

00:42:30とても嬉しくて

00:42:32あ、あの

00:42:33ちょっと待って、君

00:42:43あ、

00:42:44卒業後の進路

00:42:46書いてないのは

00:42:47レオだけね

00:42:49レオの

00:42:50行ってみたい場所って

00:42:51どこ

00:42:52両親の故郷

00:42:53八雲地方です

00:42:57あ、

00:42:58あ、

00:42:59あ、

00:43:00あ、

00:43:01あ、

00:43:02あ、

00:43:03あ、

00:43:04あ、

00:43:05あ、

00:43:06あ、

00:43:07あ、

00:43:08あ、

00:43:09あ、

00:43:10あ、

00:43:12あ、

00:43:17みんな知っての通り

00:43:19魔法は

00:43:20魔力制御の術式に

00:43:22オドを流し込むことで

00:43:24世界に干渉する技術よ

00:43:26今日は五六年生向けに

00:43:28ライティングを使って

00:43:30魔力制御への理解を深めてもらうわ

00:43:33ライティング?

00:43:34先生、

00:43:35そんな低レベルの魔法

00:43:37この教室の生徒なら誰でも

00:43:40よっ使えないものも一人いますねー

00:43:43ですねー魔力制御が未熟な者向けの抗議なんて今更ではありませんか

00:43:57じゃあ2人ともライティングを使ってみてくれるはいっ

00:44:03ライティング

00:44:06ん

00:44:09その程度じゃ使いこなしているとはまだ言えないかなえっどういう意味でしょうか

00:44:15術式契約できるかは人によって相性があるの魔力制御のうまさとは別なのよ

00:44:27魔法が使えなくてもアーティファクトがあればいくつも魔術の併用ができる人もいる

00:44:34こうやってねデフテッドマジシャン

00:44:39ライティング

00:44:50こんな数のライティングを一人で制御するの?

00:44:54ああああああ

00:45:02確かに俺は彼らのように魔法の術式契約はできない

00:45:07だけど魔力の流れを模倣して

00:45:10なぜか魔術を再現できるんだよ

00:45:17はいということで魔力制御の抗議始めます

00:45:24さすがはセリア先生僕は感動しました

00:45:29どうもありがとう

00:45:31おいゲミ

00:45:33貴様は最近女子生徒をたぶらかしているらしいな

00:45:37何のことでしょう

00:45:39いい気になるなよ

00:45:41さっきの交流試合で勝てたのはまぐれだ

00:45:45重々承知しております

00:45:47ならばでしょ

00:45:49スティアード君いい加減にしなさい

00:45:52あなたは貴族でしょ

00:45:54確たる証拠もなしに人を非難するんじゃありません

00:45:58でですが

00:46:00こいつはあなたにもちょっかいを

00:46:02そのようなことは一切ありません

00:46:07おいゲミ

00:46:09今度の野外演習で何かしでかしたら

00:46:12ユグノ公爵家が黙っていないからな

00:46:16リオ様

00:46:18プローラ

00:46:20いえ今のは明らかに言いがかりですよね

00:46:25そうね

00:46:27でも私たちは関わらないほうがお互いのためよ

00:46:31あいつも分かっているはずだわ

00:46:34そんな

00:46:36あの方はいつもあやって一人で

00:46:40なのに私は何のお返しもできていない

00:46:50ここで野外演習が行われるんですね

00:46:53ええ

00:46:55学院で学んだ軍事訓練の成果を試されるわよ

00:46:59ちょっと緊張します

00:47:01ご心配には及びません

00:47:03チーム対抗ですし気をつけてください

00:47:06では通達された演習内容を知らせる

00:47:09我が分隊は戦闘区域を離脱するため

00:47:12この山林を最短コースで抜けゴールを目指す

00:47:16作戦時間は今日の日没まで

00:47:19好成績を収めれば各自の成績に大きく影響する

00:47:23諸君昼過ぎまでには到達するぞ

00:47:27それは無理ではない

00:47:29私たちにとっての戦略は

00:47:32昼過ぎまでには到達するぞ

00:47:35それは無理ではありませんこと

00:47:37ここは山林地帯ですし

00:47:39移動時間は通常の倍はかかりますわ

00:47:42大丈夫ですよ

00:47:44とっておきのコースはすでに把握していますから

00:47:47どういうことですの

00:47:49僕の実家に仕えている兵士が

00:47:51たまたまこの辺りの地理に詳しかったんですよ

00:47:55大幅に近道できる獣道を教えてもらったので

00:47:58先輩にそれをお渡ししたんです

00:48:02なんだかズルをしているようで気が引きますわね

00:48:06戦争は情報が全てを支配しているといっても

00:48:09過言じゃないですからね

00:48:11我々が好成績を収めるのは

00:48:13約束されたようなものですよ

00:48:15いかがでしょうクリスティーナ様

00:48:20任せるわ

00:48:22この分隊の指揮官はあなただもの

00:48:25ありがとうございます

00:48:27では出発する

00:48:30おい芸人光栄に思え

00:48:33魔法すら使えない足手まといのお前にも

00:48:36できる仕事を用意してやった

00:48:38全員の荷物だ

00:48:40それを担いでついて来い

00:48:43かしこまりました

00:48:45余計なことは一切するなよ

00:48:50あのその

00:48:54私も少し持ちましょうか

00:48:58いいえ大丈夫ですよ

00:49:00ご心配くださりありがとうございます

00:49:13こんなのおかしいです

00:49:15どうしてエリオ様だけこんな

00:49:17魔物だ

00:49:20みんな焦るなゴブリンだ

00:49:23全員3名は魔道具で身体能力を上げ

00:49:26突撃

00:49:27レンジャーのフィジカルアビリティ

00:49:31大したことはありませんね

00:49:33もっと手強い魔物じゃないと

00:49:36さすがはスティアド君だ

00:49:38頼りになるそれに比べて

00:49:41おいリオ

00:49:43おっと

00:49:45リオ

00:49:46リオ

00:49:47リオ

00:49:48リオ

00:49:49リオ

00:49:50リオ

00:49:51リオ

00:49:52リオ

00:49:53リオ

00:49:54リオ

00:49:55リオ

00:49:56リオ

00:49:57リオ

00:49:58おいリオおっとするな

00:50:02申し訳ありません

00:50:08危ない危ない

00:50:10まさかこの距離で気づきかけるとは

00:50:12とんでもない子ですね

00:50:19ちょっと彼の実力を確かめてみるとしますか

00:50:25森を抜けた

00:50:26ゴールは近いぞ

00:50:34崖?

00:50:36まさか

00:50:37どういうこと

00:50:39情報が間違ってたんじゃ

00:50:41どうすんだよ来た道戻るのか

00:50:44結構なタイムロスだぜ

00:50:48指揮官

00:50:50はい

00:50:51次はどっちへ向かうのかしら

00:50:53道はここで途切れているようだけど

00:50:56えっと

00:50:57それは

00:51:04オースですわ

00:51:05皆さん防御を

00:51:09全員

00:51:10盾を構えて槍を防げ

00:51:18痛いよ

00:51:19助かれ

00:51:20やめろ

00:51:21やめろ

00:51:30フローラ

00:51:52リオ様

00:51:54フローラ

00:51:57今は魔物を殲滅することが先ですわ

00:52:01魔物

00:52:03全員は盾を構えて壁となれ

00:52:05後援は攻撃魔法で弾幕を張れ

00:52:08ロアナ君は負傷者の治療を

00:52:15ブリッジショット

00:52:22ブリッジショット

00:52:33ブリッジショット

00:52:44あそこから落ちて怪我一つないのか

00:52:48あそこから落ちて怪我一つないのは

00:52:51怪しまれるかな

00:52:54とっさに助けてしまった

00:53:04魔法でも魔術でもない

00:53:07この力が何なのか

00:53:09暇だに分からない

00:53:14あの子の子供

00:53:15ふざけるな

00:53:17僕がフローラ様を突き飛ばしたらと

00:53:20いいえそこまでは

00:53:22ただ誰がフローラ様にぶつかったのかと

00:53:25アルフォンス君に聞かれたので

00:53:27僕だって突き飛ばされたんだ

00:53:29僕は被害者だ

00:53:31犯人は別にいる

00:53:33騒ぐと傷に響きますわよ

00:53:35せっかく治療しましたのに

00:53:37スピアード君落ち着いてくれ

00:53:40俺はただ状況を把握したいと

00:53:43そうだ今思い出した

00:53:46犯人はあの下民なんですよ

00:53:50今?

00:53:51ええ

00:53:52あの時あの臆病者は魔物の襲撃に怯えて

00:53:56負傷した僕を思い切り突き飛ばしたんです

00:53:59そのせいで僕はやむなくフローラ様に衝突してしまった

00:54:03つまり王族殺しの罪を恐れたあの男は

00:54:07必死になってフローラ様を助けたが

00:54:09代わりに自分が崖から落ちてしまったと

00:54:13そんなはずはありません

00:54:15リオ様はただ必死に私を助けようと

00:54:19面倒なことになったな

00:54:21どうするか

00:54:23あいつが犯人ですね先輩たち

00:54:28今は犯人探しをしている場合なの?

00:54:31指揮官

00:54:32では王女殿下の安全のため

00:54:35とりあえずこの森から脱出しましょう

00:54:39学院はちゃんと卒業するつもりだったけど

00:54:43待ってください

00:54:45リオ様を見捨てるというのですか?

00:54:48あいつが落ちたのは自業自得というか

00:54:51自業自得

00:54:53ならば私が崖から落ちそうになったのも自業自得です

00:54:57私は一人でもリオ様を助けに行きます

00:55:02なりません

00:55:03何をおっしゃっているのですかフローラ様

00:55:05フローラ落ち着きなさい

00:55:07この演習が終了したらすぐに捜索隊を

00:55:12捜索してみましょう

00:55:34なぜあんな化け物が

00:55:36何をぼーっとしているの殺されるわよ

00:55:40サンダーボール

00:55:43サンダーボールが効かないならアイスランスだ

00:55:47前衛は身体能力強化

00:55:50アイスランス

00:55:53エンチャントフィジカルアビリティ

00:55:56退却だ

00:55:57逃げろ

00:56:00クリスティナ様

00:56:01しっかりしてください

00:56:04フローラは

00:56:06おそらく既に通っていた

00:56:09よし

00:56:11れいちゃん

00:56:12もういい

00:56:13アイスランス

00:56:15お茶を飲みましょう

00:56:16アイスランス

00:56:18アイスランス

00:56:20アイスランス

00:56:21アイスランス

00:56:22アイスランス

00:56:23アイスランス

00:56:24おそらくすでに逃走されたかと

00:56:27我々も急ぎましょう

00:56:33大丈夫ですか?

00:56:55この人を連れてすぐ逃げてください

00:56:57リオ様!

00:56:58早く!

00:56:59は、はい!

00:57:01こっちだ!

00:57:03来い!

00:57:14堅い

00:57:15それに

00:57:16速い!

00:57:18ここで死ぬわけにはいかない

00:57:20なに?

00:57:21なぜ俺はここにいるの?

00:57:23なぜ俺は助けに戻ったんだ?

00:57:30すごい

00:57:53今だ

00:58:15あの魔物は一体

00:58:17フローラ様!

00:58:18フローラ様!

00:58:19フローラはありませんか?

00:58:21ご、ごめんなさい

00:58:29いや

00:58:30予想以上に面白いものが見られました

00:58:33あの黒い髪

00:58:35ヤグモ地方から流れてきた移民の子孫でしょうか

00:58:39ならば生理術が使えるのも頷けますが

00:58:43すげえ恐ろしい子だ

00:58:46もう!

00:58:47学院長ってばほんと人遣いが荒いんだから

00:58:51調べ物くらい自分ですればいいのに

00:58:54しかもこんな古い魔物の資料

00:58:59それで

00:59:00その平民

00:59:02リオは行方不明になっていての

00:59:07が

00:59:08フローラ様はそのリオとやらを

00:59:10見つけられました

00:59:12が

00:59:13フローラ様はそのリオとやらを擁護なさっておる

00:59:17ガルシア殿

00:59:18今我がユグノ公爵家の立場が危うくなれば

00:59:22ある某公爵藩が勢いずく

00:59:26それは国としてもまずいでしょう

00:59:30今は王家の力が弱まっているしの

00:59:34いやはや全く

00:59:36こうなった以上は

00:59:38あの小僧に責任を負わせるしかないか

00:59:42あとは任せたぞ

00:59:44ユグノ公爵

00:59:46承知しました

00:59:47以降の処理はお任せください

00:59:54リオ

00:59:55一体何があったの

01:00:06誰?

01:00:09リオです

01:00:10お騒がせしてすみません

01:00:16せ

01:00:17先生

01:00:19心配したんだからね

01:00:21すみません

01:00:22怪我してない?

01:00:24大丈夫?

01:00:25くすぐったいですよ

01:00:31ひどい

01:00:32何よそれ

01:00:33冤罪じゃない?

01:00:35リオは何も悪くない

01:00:37はい

01:00:39何が悪いのかを決めるのは権力者です

01:00:42俺が事実を訴えたところできっと認められない

01:00:47俺は貴族じゃないですからね

01:00:52ごめん

01:00:53本当は私が何とかしてあげられればいいんだけど

01:00:58謝らないでください

01:01:00先生のおかげなんです

01:01:02セリア先生がいたから

01:01:04俺はここまで腐らずに生きてこられました

01:01:08先生と出会えてよかった

01:01:10本当にそう思っています

01:01:14リオ

01:01:15だから先生にだけはお別れを言いたかった

01:01:19八雲地方に行くのね

01:01:22はい

01:01:24そう

01:01:27卒業するあなたを見たかったけど

01:01:30道中で先生宛に手紙を書きますね

01:01:33偽名を名乗りますけど

01:01:35分かったわ

01:01:36どんな名前?

01:01:40ハルトです

01:01:42ハルト

01:01:44ハルト

01:01:46それじゃそろそろ行きます

01:01:49また会えるわよね

01:01:51はい

01:01:52きっとまた会えます

01:01:56きっとよ

01:01:57絶対だからね

01:01:59元気で帰ってきてよね

01:02:11行ってらっしゃい

01:02:13はい行ってきます

01:02:19手紙待ってる

01:02:22私待ってるから

01:02:28はい

01:02:46お名前は何て言うのかしら

01:02:48私の名前はセリアよ

01:02:51リオ

01:02:52リオ珍しい名前ね

01:02:55移民の子なので

01:02:57大丈夫?

01:02:59さてな

01:03:03待ってて

01:03:04今スペース作るから

01:03:06いまいっしょ

01:03:07難しそうな本がたくさんあるんですね

01:03:09先生すごく若そうなのに

01:03:12え?

01:03:13ああうん

01:03:14私まだ12歳だし

01:03:17美味しい

01:03:18よかった

01:03:19美味しいお茶を飲むと

01:03:24幸せってなるのよね

01:03:27俺にはセリア先生がいますから

01:03:33リオ

01:03:34はい

01:03:35バカにしてるんでしょ

01:03:36私のこと子供扱いして

01:03:38先生の方が歳は上じゃないですか

01:03:41そうだけど

01:03:43つまり

01:03:44私のこと友達みたいって思ってるってことでしょ

01:03:49はい

01:03:50嫌ですか?

01:03:52嫌じゃない

01:03:55嫌じゃない

01:03:57それが暗殺対象の服だ

01:04:23匂いを覚えろ

01:04:25対象の年齢は12歳

01:04:27性別は男

01:04:28名前はリオ

01:04:29黒い髪をしているからすぐ分かる

01:04:32何としても探し出し殺せ

01:04:35ラティファ

01:04:40分かりました

01:04:55セリア先生

01:05:07オートベルトラントを出発してから

01:05:093日が経ち

01:05:11無事に隣国

01:05:13ガルワーク王国のアマンドに着きました

01:05:22マイ

01:05:24オートでは手配書が出回っていたので

01:05:27旅の道具を揃えることは難しかったのですが

01:05:31こちらにまでは届いてなかったので

01:05:33安心してください

01:05:36アマンドは賑やかで活気がある街です

01:05:40食料も豊富で

01:05:42保存食もすぐに揃えられそうで助かりました

01:05:46気にしすぎか

01:06:03スープパスタ

01:06:05いっぱい衝動が始まりだよ

01:06:08パスタですか

01:06:11坊主この街は初めてかい

01:06:14はい

01:06:16スープパスタってのは

01:06:18アマンドを収めるリーゼロッテ様が

01:06:20小麦から開発した麺を使った料理なのさ

01:06:24リーゼロッテ

01:06:26で出来上がりがこれな

01:06:29お待ち

01:06:31パスタ

01:06:32この世界で初めて見た

01:06:34麺という言葉も

01:06:39うまそうだろ

01:06:41実際うまいけどな

01:06:42じゃあ一杯ください

01:06:44まいどー

01:06:51美味しい

01:06:53だろだろ

01:06:55懐かしい味だ

01:06:59もしかしてリーゼロッテって人も

01:07:01ハルトと同じ世界から

01:07:04まあ今更

01:07:06そんなこと考えてもどうしようもないか

01:07:12あなたが大きくなったら

01:07:14連れて行ってあげるわ

01:07:16ヤグモ地方っていうのよ

01:07:18ほんと約束だよ

01:07:21俺は

01:07:23父さんと母さんの故郷を見てみたい

01:07:26母さんとの約束だから

01:07:32あれか

01:07:34麺が買いたくなった

01:07:37はい旅の保存職人と思って

01:07:40ごちそうさまでした

01:07:42ならこの先の立花商会に行ってみな

01:07:45一階の麺汁店に行列ができてるはずだから

01:07:48すぐ上がると思うぜ

01:07:50麺汁ですか

01:07:53ああそれもリーゼロッテ様が

01:07:56美味しいね

01:07:57うん

01:07:58肉麺汁2個とチーズ麺汁1個のお客様

01:08:02お待たせいたしました

01:08:04暑いのでお気を付けください

01:08:06まんじゅうか

01:08:08なんだか懐かしいな

01:08:10いらっしゃいませ立花商会へようこそ

01:08:13ありがとうございました

01:08:15またのお越しをお待ちしております

01:08:18お客様

01:08:20当店は台頭市でのご入店はご遠慮いただいております

01:08:25よろしければお荷物をお預かりいたしますが

01:08:28あはい

01:08:31黒髪

01:08:34ではよろしくお願いします

01:08:36ご協力ありがとうございます

01:08:38本日お客様の担当させていただきます

01:08:41ロッテと申します

01:08:56どうぞ

01:08:58失礼します

01:09:00お待たせしました

01:09:02乾麺タイプのパスタを15キロ

01:09:04大麦は10キロ

01:09:06それと調理器具と調味料もご用意できました

01:09:10そうですかありがとうございます

01:09:13それから大型のリュックをお付けしておきましたが

01:09:16相当に重いのでお持ち帰りは大丈夫ですか

01:09:21どうぞ

01:09:22ありがとうございます

01:09:24こう見えて体は鍛えていますのでご心配なく

01:09:29紅茶を飲み慣れていらっしゃったりしますか

01:09:38知り合いに紅茶好きな女性がいまして

01:09:41一緒に飲むうちに色々と学びました

01:09:44でしたらその茶葉が何かもしかしてお分かりになりますか

01:09:50独特の香りと少し渋みのある風味

01:09:54リズさんの茶葉でしょうか

01:09:56良い茶葉を使っていらっしゃいますね

01:09:58この茶器も

01:10:00お客様に最高の取引をしていただくために

01:10:03商談の環境もできるだけ万全に

01:10:06というのが我が商会のモットーなんです

01:10:09それであとはお手紙の配達を受けたまわればよろしかったでしょうか

01:10:16はい

01:10:17ということで無事買い物も終わり出発します

01:10:22シュトラル地方を出ると手紙は届けられませんが

01:10:25心配しないでください

01:10:28頼りがないのは元気な証拠ですから

01:10:31行ってきます

01:10:33ハルト

01:10:35お気を付けて

01:10:37お世話になりました

01:10:42何かミステリアスな少年でしたね

01:10:45リーゼロッテ様

01:10:47今の私はロッテなんだけど

01:10:49コセット

01:10:51でしたね

01:10:55子供

01:11:01大丈夫か

01:11:15毒か

01:11:18銃

01:11:24銃銃

01:11:26あなた

01:11:28殺せ

01:11:40申し訳ないが

01:11:42僕はここで君に殺されるわけにはいかないんだ

01:11:49毒効かない

01:11:53早い

01:12:03エンサントフィジカルアビリティ

01:12:05魔法で身体能力を強化していたわけではなかったのか

01:12:10あの動き

01:12:11身体強化した後は

01:12:13どれほどなんだ

01:12:21なんで

01:12:22なんでこの人

01:12:24人間なのに

01:12:25こんなに早いの

01:12:41ナイフの意識を集中しすぎだ

01:12:59ここまでだ

01:13:00言葉はわかるな

01:13:11落ち着け

01:13:20仕方ない

01:13:33冷息の首輪か

01:13:41本に載っていた魔法

01:13:43ディスペルといったか

01:13:47あれを真似れば外せるか

01:14:06ラティファ

01:14:07起きろ

01:14:10起きろ

01:14:17ラティファ

01:14:18ラティファ

01:14:20私はエンドウスズネです

01:14:22なに寝ぼけてんだ

01:14:34ラティファ

01:14:36僕はお前のなんだ

01:14:39スティアードお兄様だ

01:14:41ほらお兄様って言ってみろ

01:14:55お兄様だ

01:14:56言ってみろ

01:15:04おい

01:15:05起きろ

01:15:09やめろ

01:15:10手足は縛っている

01:15:13状況は理解できたな

01:15:15死にたくなければ

01:15:17さっきみたいに暴れるなよ

01:15:21暴れなければ殺さないですか

01:15:24それはお前次第だ

01:15:28ベルトランドから来たのか

01:15:31なら

01:15:32これがなんだかわかるか

01:15:34首輪

01:15:39なに

01:15:41なんで

01:15:42この首輪があるから

01:15:44お前は命令に従っていたんだろう

01:15:47もう痛みに襲われることはない

01:16:04もう首輪はないから

01:16:06質問に答えても問題はないな

01:16:10お前は誰に命令された

01:16:14俺とお前しかいない

01:16:16安心しろ

01:16:18ご主人様の名前

01:16:20わからないです

01:16:22教えてもらったことないから

01:16:24仮名もわからないのか

01:16:26仮名

01:16:30でも

01:16:31お兄様の名前知っている

01:16:33スティアードを言っていた

01:16:35スティアード

01:16:37そいつもお前と同じ従事員なのか

01:16:39ううん

01:16:40お兄様

01:16:41人間

01:16:42私にしつけをしていた人間

01:16:44人間

01:16:46やはりあいつか

01:16:49犯人

01:16:50あの下民なんですよ

01:16:52真実が明らかになるのを恐れ

01:16:54優遇の公爵が俺を消そうとしたと考えれば

01:16:57辻褄は合うけど

01:17:00お前以外に俺を殺そうとしている奴はいるのか

01:17:05わからないです

01:17:07でも多分いないと思う

01:17:11じゃあ最後の質問だ

01:17:16お前はまだ俺のことを殺すつもりか

01:17:22殺さないです

01:17:25じゃあ好きにしろ

01:17:27装備式はそこのローブと一緒に置いておいた

01:17:34ここから逃げていいってことだ

01:17:38お前を支配していた首輪がなくなった以上

01:17:41主人のところに戻る必要だってない

01:17:45けど

01:17:46従事員を奴隷としているシトラル地方に

01:17:49この子の居場所はない

01:17:52この国を出て東に行くと

01:17:55未開地と呼ばれる場所が広がっている

01:17:59そのどこかに

01:18:00お前と同じ獣人や

01:18:02亜人たちが暮らしている土地があるらしい

01:18:06未開地ですか

01:18:08東

01:18:09俺がここまで進んできた方角だ

01:18:13この地に留まるよりは

01:18:15そこで仲間を探した方が暮らしやすいかもな

01:18:18仲間

01:18:19東

01:18:20未開地

01:18:23じゃあ俺は行く

01:18:25一応行っておくが

01:18:26次に襲ってきたら容赦はしない

01:18:41まだ俺に何か用があるのか

01:18:44あの東

01:18:46私も一緒に行きたいです

01:18:50勘違いしているのかもしれないが

01:18:53俺は別にお前を助けようと思って

01:18:55奴隷から解放したわけじゃない

01:18:58お前を殺さない方が

01:19:00俺にとって都合が良かっただけだ

01:19:03でもどうしたらいいか分からないです

01:19:08俺はお前を奴隷として扱っていた連中と同じ人間族だぞ

01:19:12怖くないのか

01:19:15嫌な感じしないです

01:19:18俺を殺そうとしたお前を

01:19:20俺が何とも思っていないと思うのか

01:19:28ごめんなさい

01:19:31別に怒っているわけじゃない

01:19:33お前は命令に逆らえなかっただけだろ

01:19:37でも

01:19:38お前が再び俺を襲わないとは限らない

01:19:43要は信用できないんだ

01:19:45分かるか

01:19:46なら首輪付けてもいいです

01:19:50いいですから

01:19:52お願いします

01:19:54何で持ってきた

01:19:56お前はその首輪を付けるのが嫌だったんだろ

01:20:00このまま一人になる方が嫌なんです

01:20:04怖いです

01:20:06お願いします

01:20:11分かった

01:20:12好きにしろ

01:20:14はい

01:20:16ありがとうございます

01:20:18その首輪捨てろよ

01:20:22お前の名前は何て言うんだ

01:20:25ラティファです

01:20:27そっか

01:20:28俺はリオだ

01:20:30よろしくなラティファ

01:20:33はいです

01:20:43ごめんなさい

01:20:45そんなことで謝らなくていいよ

01:20:48はい

01:20:49食べてもいいですか

01:20:51あ遠慮しなくていい

01:20:59美味しい

01:21:01ああ

01:21:07誰も取らないからゆっくり食べろ

01:21:11ご飯エサだって

01:21:13お兄様毎日私

01:21:23いよいよ未開地だ

01:21:25辛くないか

01:21:27大丈夫です

01:21:31国境を越えたし

01:21:33少し早いが

01:21:35今日はこの辺りで夜営しよう

01:21:37ごめんなさい

01:21:39どうして謝るんだ

01:21:41アシデマトイに

01:21:42なっていないよ

01:21:51ハルト

01:21:53リオからの手紙だわ

01:21:55よかった元気そうで

01:21:57三日でアマンドまで行ったなんて早すぎでしょ

01:22:00頼りがなくなるのは寂しいんだけど

01:22:03どうか道中

01:22:05無事でありますように

01:22:10スパゲッティ

01:22:12知ってるのか

01:22:14はいスパゲッティです

01:22:16食べてもいいですか

01:22:18ああ

01:22:20いただきます

01:22:27パスタを食べたことあるのか

01:22:29はい

01:22:31えっとはい

01:22:33食べてたです

01:22:35多分

01:22:37そっか

01:22:39通りで食べ慣れているわけだな

01:22:41おかわりあるし

01:22:43たくさん食べていいぞ

01:22:45ありがとうです

01:22:47パスタをスパゲッティというのは

01:22:50もしかして

01:22:52この子も

01:22:58どうした

01:23:00やだよ

01:23:02こことこ

01:23:05お家に帰りたいよ

01:23:10大丈夫だよ

01:23:12もう怖くないから

01:23:14お母さん

01:23:16お父さん

01:23:18お兄さん

01:23:20東京に帰りたいよ

01:23:22東京

01:23:24やっぱり間違いない

01:23:26この子も

01:23:28お兄さん

01:23:30安心してお休み

01:23:33あ

01:23:48髪黒い

01:23:50やっぱり似てる

01:23:54お兄ちゃん

01:23:58お兄ちゃん

01:24:00お兄ちゃん

01:24:02おはよう

01:24:04よく眠れたか

01:24:08大丈夫か

01:24:10はいお兄

01:24:12リオさん

01:24:14鬼リオ

01:24:16違います

01:24:18お兄ちゃんって

01:24:20言おうとしてその

01:24:22リオさんのこと

01:24:24お兄ちゃんって呼んでもいいですか

01:24:26え

01:24:28ダメではないけど

01:24:30お母さん

01:24:32お父さん

01:24:34お兄さん

01:24:36東京に帰りたいよ

01:24:38まだ幼い少女が一人

01:24:40地球からこの世界に転生して

01:24:42奴隷になって

01:24:44どれだけ寂しかっただろう

01:24:46少しでも

01:24:48心の支えになるというのなら

01:24:50あ

01:24:58お兄ちゃん

01:25:00今日の朝ごはんは何

01:25:02ラティファ何が食べたい

01:25:04オムレツがいい

01:25:06チーズが入ったの

01:25:08オムレツか

01:25:10分かった

01:25:12ん

01:25:14なあ

01:25:16ラティファ

01:25:18やっぱり

01:25:20あっちに大きな木はない

01:25:22あ

01:25:24あ

01:25:26やっぱり

01:25:28あっちに大きな木は見えないよな

01:25:30昨日も言ってたの

01:25:32森しか見えないよ

01:25:34ラティファには見えてない

01:25:36ということは

01:25:38あれは魔術で認識が阻害されているのか

01:25:42お兄ちゃん

01:25:44本当に中に入るの

01:25:46迷わない

01:25:48大丈夫だよ

01:25:50お兄ちゃん

01:25:52ちょっとだけ

01:25:54知らない匂いがする

01:25:56いくつも

01:25:58獣の匂いとは違うのか

01:26:00うん

01:26:02じゃあ

01:26:04匂いの主は近くにはいないってことか

01:26:06多分そうだと思う

01:26:08なら

01:26:10今日はこの辺りで休もうか

01:26:12そろそろ目的地が近いかもしれない

01:26:14本当

01:26:16やっと森から出られるんだね

01:26:18またうなされてるのか

01:26:24これで

01:26:26怖い夢を見ないようになれ

01:26:28ん

01:26:42なに

01:26:44あ

01:26:46なに

Spirit Chronicles [Episode 1 - 4]

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