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00:00花の東京へ戻ってみれば、移住院家は侘しい限り、そこでベニオは移住院家に踏みとどまろうと改めて決意を固くする。それを知ったら丸はがっくり。
00:18一方牛五郎は、老伯爵夫妻からベニオには内緒で生意の最後を喋らされていた。
00:26ベニオはベニオで泣いてはおれぬと仕事仕事に大張り切り、きょうもきょうとて靖国神社へ戦死者の遺族の取材に来てみれば、なんとそこにはこっそり参拝に来た老夫妻。
00:39ベニオは初めて彼らが生意の最後を知りつつ知らぬ顔をしていることを悟ったのである。
00:47春は涙の九段坂。靖国神社は春おぼろ。
00:59仕事仕事、がんばらなくっちゃ。
01:09仕事仕事、がんばらなくっちゃ。
01:19あ、事件だ。
01:23すいません。あの、ちょっと通してください。
01:26なんだ、女か。
01:28邪魔だ。
01:29どいたどいた。女の出る幕じゃねえぞ。
01:31お先に失礼。
01:34甘いのだよ、明智くん。これしきで怯むようなベニオさんじゃない。
01:42ちょっと待って。
01:51一番のりっと。
01:53ふむふむ。なるほど、なるほど。
01:56えーっと。
01:58くううう、悔しい。
02:02まったく女のくせになんてやつだ。
02:04おっとけ、おっとけ。
02:06だいたい男の仕事場に出ちゃばってくるようなやつは女じゃねえ。
02:10何を。
02:12あんたたち、言いたいこと言ってくれんじゃないの。
02:15恥ずかしくありませんの。
02:17あなた方、帝国大学は女性の超高生を許すし、
02:22企業が十七万人の職業不自由を抱えているという世の中に、
02:27時代の先端を行く汽車にそんなコチコチ頭がいるとは。
02:30侵害ですわね。
02:33悔しかったら殿方らしく、女子供に負けない仕事をなさいますよ。
02:39すっごいのがいるのね。
02:41どこの婦人汽車だろう。
02:43あら、ベニオじゃないの。
02:48あたし。
02:50ああ、玉城。
02:52ああ、久しぶり。
02:56冗談社が女の汽車を雇ったって聞いたけど、
02:59まさかそれがベニオで、おまけにこんなところで会えるなんて。
03:03玉城こそ女子大にでも行ったのかと思ってたわ。
03:08新聞社、すっごいんだ。
03:11そうでもないわよ。
03:13ね、どう?久しぶりだから。
03:15うん、飲もう飲もう。
03:17いろいろ聞きたいことがあるの。
03:26やあ玉城。
03:28ああ、こんにちは。
03:30やあ。
03:32知ってるの?
03:33玉城、みんな新しいの作家たちよ。
03:37何か面白い話ないかい?
03:39あら、それはあたしが言うセリフよ。
03:42鮮やか、あれが新婦人って言うのだろうか。
03:46それに比べて、私は?
03:50すごいわ、タムキ。
03:52何が?
03:53相変わらずモテてるね。
03:55あら、ベニオこそ。
03:57乗段車の編集長は、バレンチの場合の2枚目だって言うじゃないの。
04:03嫌だわ、そんな人じゃないわよ。
04:06うちの編集長、大の女気だ。
04:09今でも、シノブさんのことを?
04:11うん。
04:19ああ、それにしても、
04:22私は、
04:24私は、
04:26私は、
04:28私は、
04:30私は、
04:32私は、
04:34私は、
04:37ああ、それにしても、
04:39ベニオの周りってどうしてハンサムが群がってんのかしら。
04:43ハンサムって下手者ぶりが多いのかしらね。
04:47あたしなんてこれほど美しいのに恵まれないのよね。
04:54美女とハンサムは結ばれないって言うけど、本当なのね。
04:58タムキって手段だったのね。
05:02命短し恋せよ乙女
05:12捧げ唇
05:17果てぬ間に
05:22恋せよ乙女か。
05:26恋せよ乙女か。
05:29もう私には縁のないことがある。
05:52命短し恋せよ乙女
06:05ねえ、タムキあなた、なんだか少し酔ってるみたい。
06:09大丈夫?
06:10平気平気。
06:11ねえ、ここら辺でUFOなんか出てくると得ダネが取れんのにね。
06:16そうしたら男性汽車ワーッと言わせて。
06:20UFOだなんて時代が違うわよ。
06:31どうしたの、ベニオ。
06:34出た!空飛ぶ船番!
06:50私たちちょっぴり飲みすぎたみたいね。
06:58そうみたいね。ありえないものが見えるんだから。
07:03まず深呼吸して余裕さまさ。
07:14まだいる!
07:17もう嫌、私降ろさせてもらうわ。
07:20ああ、こんな冗談のきついテレビ漫画嫌よ。
07:23男性時代のUFOなんて負けそう。
07:26ねえねえ、タムキ見せてよ。
07:28あれは葉巻型のUFOよ。
07:31そんな、冗談にしても凄すぎるわよ。
07:35第一、飛行機だってまだ二枚羽根なんだから。
07:40それとも狐に化かされて。
07:43嫌だ!
07:45どうしたの?
07:46人が乗ってる。
07:49宇宙人?
07:50見てごらんなさいよ。ほら。
07:58宇宙人?
08:16少尉。
08:20少尉。
08:22少尉乗ってる。
08:25何言ってんのよ。しっかりしてよ。
08:28しのぶさんのはずないでしょ。
08:30本当だってば。
08:32じゃあ、しのぶさんは宇宙人だって言うの?
08:35だって言えたのよ。
08:38でもこれはきっと幻覚よ。
08:42じゃあいい?
08:441、2、3で振り向いてみましょう。
08:471、2、の、3!
08:51消えた。
09:12どうしたの?
09:14人大丈夫?
09:15一晩眠れば限界乗り戻すよ。
09:18寝ちゃいましょう。
09:24あんたたち、道路で寝ることはないでしょうが。
09:30お?
09:37宇宙人家の遊ば、二日酔いで始まる。
09:40なんということでございますか。
09:43死ぬ。頭痛い。
09:46落伐したとはいえ、家族の御代様が恥さらしな。
09:50あれから何とか家に帰り着いたけど、
09:54玉城の方は無事に帰れたかしら。
09:59ああって、どっかで見たような。
10:03ラグビーボール。
10:05空飛ぶ爆弾。
10:08宇宙船。
10:17宇宙人が襲撃してくる!
10:22ん?
10:25レニオ様、起きたくないための下手な言い訳は見苦しいですぞ。
10:29さあ、朝起きなさい。
10:32違う、違う。私見ちゃったのよ、UFOを。
10:35え?
10:36それに、宇宙人まで。
10:52宇宙人の話
11:01あの宇宙人、何故か松蔭にそっくりだったっけ。
11:05どうもわからん。
11:07新聞にも何一つそれらしい記事は無いし。
11:11やっぱしあれは、飲みすぎたあまりの幻覚だったのかしら。
11:17それとも、このところ仕事に明け暮れて、松蔭のことを忘れかけていたのかもしれない。
11:23それできっと、私の前に幽霊として現れたのかも。
11:29ごめんね、松蔭。反省するわ。
11:33決して忘れたわけじゃないのよ。
11:37ただ、仕事が急がしすぎて世間に負けていただけなのよ。
11:43何?空飛ぶ円盤?
11:46ああ、あの、ラグビーボールみたいな形でですね。
11:50えー、それでこう、ふわーっと浮いてて、
11:53そいで持って、ぱーっと消えちゃう。
12:02んー、酔い騒しにはトマトジュースとかきのみと袋が一番だよ。
12:06やっぱりね。
12:08代替が足りんぞるぞ!
12:10朝っ端からくだらん事を並べてるがに、結構だことしてこい!
12:14うるさい!
12:20何?空飛ぶ円盤じゃと?
12:23ああ、あの、江戸川端先生、存在するでしょうか?
12:31お茶でーす。
12:33お茶でーす。
12:37もちろんじゃん、それに宇宙人もいるのじゃ。
12:41やっぱり、ああ、あたし見たんですそれ。
12:46よかった、やっぱり夕べ見たのは、夢や幻覚じゃなかったんだわ。
12:51あら、でもどうして先生ご存じ?
12:55わからんのかね、明智くん。
12:57灰燼二重面倉庫と江戸川端三歩とは真っ赤な偽り。
13:01は?
13:02何を隠そうわしこそんが!
13:04宇宙の彼方などの星からやって来た宇宙人なのだ!
13:09さあ来い、地球防衛団!
13:17あれ、入っちゃうの?これからが面白いんだよ。
13:20おらし!
13:22でもやっぱり夢だったのかしらね、宇宙人となって。
13:26あら。
13:29どうしてわかったのかしら、私たちの計画。
13:34実は私たち、屈折し上昇する星屑の彼方。
13:39妖精隊の星、トランシルバニアから、
13:42宇宙人の宇宙人の宇宙人の宇宙人の宇宙人の宇宙人が
13:46屈折し上昇する星屑の彼方。
13:49妖精隊の星、トランシルバニアから、
13:52美男、美女をスカウトしに来たのよね。
13:55あなたかなり落ちるけど、この際どう?
13:59ご一緒にタイムウォープなさいませんか?
14:03へえ、加減にさらせ!
14:06食っちまうぞ!
14:08ああ!恐怖の未来だ!
14:11それは彼女から始まった!
14:14やだ、やだ、もう!
14:16頭の機械が壊れておかしくなりそう!
14:19おかよいのせいでしょ?
14:24やっぱりそうかしら。
14:36ただいま!
14:37おい!
14:38まったくもう、どこまで原稿取りに行っていたんだ!
14:41すみません。
14:52朝からさえん顔つきだな。
14:55気晴らしに記者クラブのパーティーにでも行くか。
14:58初めてだったの?
15:00ああ。
15:12すごい、煙草の煙で視界がきかない。
15:15ほら、あそこに気の晴れるようなものがあるぞ。
15:24うわあ!おっと!
15:30うかしょうぜ!
15:35やれやれ。
15:39やれやれ、やっと元気が出たな。
15:42あんたは食べ物に異常な執着を持っているから、もしやとは思ったわね。
15:46あっと!
15:48本質を見抜いた言い方、鋭いか。
15:52俺は編集長仲間に挨拶してくる。
15:55青江さんって、やっぱり人だな。
15:58では、ご好意に甘えていただきます!
16:01どれにしようかな?
16:04これにしよっ!
16:06あたしが先に取ったのよ!
16:09うってきもしぶとい!
16:12みんなにくそをまけるか!
16:15負けるか!
16:18負けるか!
16:21負けるか!
16:24負けるか!
16:27負けるか!
16:30負けるか!
16:33なんだなんだ?
16:36何この女か、例の生意気な女記者は。
16:39やっぱり生意気な顔してるわ。
16:42人材不足とはいえ、こんな女に仕事をやらせてる編集長の顔が拝みたいもので。
16:46何を?
16:49あたしばかりか?
16:52編集長の悪口まで。
16:55無理して女のあたしを雇ってくれた編集長なのに。
16:58よーし、やったのか?
17:01どうして今日朝から危険が悪いんだ?
17:04やる気が面白い?
17:07編集長は俺だ!
17:10あ?
17:13俺の顔を見たいと言ったのはどいつだ?
17:16あ、あほえさん?
17:19あなたでしたか?
17:22編集長!
17:25うちの記者に文句があるなら、俺に直接言ってもらおうか。
17:28仕事ができれば男であろうと女であろうと、
17:31仕事を与えるのが俺の主義なんでね。
17:34それが何か?
17:37あ、え、いえ、別に何も。
17:40な?
17:43あ、お節のほどよくわかりました。
17:46じゃ、失礼します。
17:49まさか、あのあほえさんのとこの記者とはな。
17:52相手が悪いぜ。
17:55しかし、女嫌いがどうしてあんな。
17:58編集長!
18:01私、そんなに言っていただいて、なんて言っていいか。
18:05いや、俺は事実しか言わんよ。
18:08あんたが貴重な存在なのは本当だ。
18:20何でしょう、この胸のときめきは。
18:25何しろ、あんたは俺に沈黙心を起こさせない唯一の女族だからな。
18:29何たって貴重な。
18:34ねえねえ、メリオ。お宅の編集長素敵。紹介してよ。
18:39いいわよ。
18:42編集長!
18:45今ここにいたのに。
18:48編集長!
18:51編集長!
18:55あれ、どうしてこんなとこに隠れてるんですか、編集長。
18:58女性アレルギー治ったんじゃないんですか。
19:01いいや、あれほどの美人になると発作を起こしそうだな。
19:09そうでしょうよ。どうせ私は自信の持てる顔ですよ。
19:14タマキ、あなた覚えているんでしょ。
19:17え?ユーフォー?
19:20何言ったのよ、今どき。
19:23馬鹿馬鹿しい。
19:26え?じゃあタマキは覚えがないの?
19:29実は、あなたとお酒を飲んだところから後の記憶は途切れたのよ。
19:35教えてメリオ。もしや何か恐ろしいことしでかせなかった?
19:39知らん。
19:45タマキにも覚えがないとすると、やっぱしあれは夢だったのかしら。
19:49それと私、お酒好きの挙句、アルコール中毒に。
19:53不安。病院に行こうかしら。
20:07おい、事件だ事件だ。
20:10日本始まって以来の大事件。
20:13飛行船だよ。飛行船が東京に来たんだよ。
20:17飛行船ってあの水素ガスで飛ぶ気球?
20:20そうだけどもっと進んだやつだ。
20:23それで誰か乗ってるの?
20:26もちろんさ。その飛行船に乗ってきたのが、
20:29なんとロシアからの亡命貴族。
20:32しかも男と女の二人連れ。
20:35へー、ロシア。
20:38よし、行ってみよう。
20:47あそこだあそこだ。
20:50あーずいぶん集まってるな。
21:04あれは、昨日の巻き方よ。
21:08なんと、ベニオの見たUFOの正体はこの飛行船であった。
21:11しかし正位そっくりの宇宙人の正体は、
21:14はだまた、亡命貴族の正体は、
21:17UFOで飛んできた一男の人。

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