アスベスト訴訟で賠償命令 2016年01月29日

  • 8 年前
アスベスト訴訟で賠償命令
大工や塗装工だった人などが、建設現場でアスベストを吸い込み健康被害を受けたと訴えた裁判で、京都地裁は29日、国と建材メーカーに、計2億1000万円余の賠償を命じました。
建設現場でのアスベスト被害をめぐって、国に加えて、建材メーカーの責任も認められたのは初めてです。
京都府内に住み、大工や塗装工、それに電気工事の職人などとして働いていた人たちと遺族のあわせて27人は、住宅やビルの建設現場でアスベストを吸い込み、肺がんや中皮腫などになったとして、国と、建材を製造・販売したメーカー32社に賠償を求めていました。
29日の判決で、京都地裁の比嘉一美裁判長は、「国は、粉じんの濃度の調査結果などから、昭和47年以降、段階的に、防じんマスクの着用や、建材の警告表示を義務づける必要があったのに、十分な対策を取らなかった」として、国の責任を認めました。
さらに、建材メーカーについては、「国と同じ時期には、アスベストによる被害を予測でき、建材の警告表示をする義務があったのに怠った」と指摘したうえで、「製品のシェアが概ね10%以上なら、
被害を与えた可能性が高い」として、9社の責任を認め、国とあわせて、2億1000万円余の賠償を命じました。
建設現場でのアスベスト被害を巡る裁判では、これまでに、東京と福岡、大阪で、国の責任が認められていますが、建材メーカーの責任も認められたのは初です。
判決後、原告と弁護団が、京都市内で会見を開きました。
肺がんになった原告の長野好孝さん(73)は「大変よい結果に喜んでいます。判決までに亡くなった仲間たちによい報告ができることを大変うれしく思っています」と話していました。
また、肺がんになった原告の三須磨一也さん(63)は「初めて建材メーカーの責任が認められ、うれしく思います。今後は被害者を救済するシステムができることを願っています」と話していました。
弁護団の村山晃弁護団長は「被害者を救済しようという心のこもった判決だと受け止めています。今回の判決では賠償の対象にならなかった原告もいて、今後は、こうした人も含めた救済措置を国と建材メーカが実行するよう求めていきたい」と話していました。
一方、厚生労働省は、「国の主張が認められなかった点もあり、厳しい判決と認識している。判決内容を十分検討するとともに、関係省庁と協議して対応したい」としています。
また、大手建材メーカーの一つ、「ニチアス」は、「当社の主張が認められなかったことは遺憾です。判決に対しては、控訴する予定です」としています。
2016年01月29日 20時50分

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