• 7 年前
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの交響曲第9番(こうきょうきょくだい9ばん)ニ短調作品125(ドイツ語: Sinfonie Nr. 9 d-moll op. 125)は、ベートーヴェンの9番目にして最後の交響曲である(第10番は断片的なスケッチが残されたのみで完成されていない)。
古典派の以前のあらゆる音楽の集大成ともいえるような総合性を備えると同時に、来るべきロマン派音楽の時代の道標となった記念碑的な大作である。
第1楽章は冒頭の、弦楽器のトレモロとホルンの持続音にのせて、調性の長短が不明な断片的動機が空虚五度の和音で提示され、それが発展して第1主題になるという動機の展開手法は非常に斬新なものである。第1主題は、ニ音とイ音による完全五度を骨格とした力強い主題であり、一度目は主調のニ短調で、冒頭がリピートされたのち二度目は変ロ長調で立ち現れるが、すぐにニ短調に戻り、強奏でこれが定着される。
第2主題導入部は、第4楽章で現れる「歓喜」の主題を暗示するような優しいものであるが、これも変ロ長調で、通常、主調の平行調または属調で現れる提示部第2主題が下属調の平行調になっている。
それを引きついだコデッタは形式どおり長調で展開されるが、弦と木管の応答部分では、同じフレーズが短調と長調で交互に繰り返されるなど、長調と短調の葛藤が垣間見られる。提示部はベートーヴェンの交響曲で最も長大なためもあってか反復指定がない。
展開部は再び、冒頭の和音で始まるが、すぐに短調となり、第1主題がほぼ提示部と同じ長さ、変奏、展開される。
再現部は展開部のクライマックスを兼ねるようなものとなっており、冒頭の和音と主題がffの全奏で再現される。
ティンパニもffのロールを持続しながら「ニ、イ」の主題動機の強打に参加し、圧巻のクライマックスが築かれる。(提示部と再現部の冒頭の変奏の差はこれまでのベートーヴェンの交響曲にも見られたが、ここでは特に大きい)優しい第2主題も戻るものの、すぐさまニ短調に押し流され、以降、短調による激しい展開となる。コーダは最後、半音階をすべり落ちるような不気味なオスティナートに導かれ、それに全弦が誘い込まれたところで全奏となり、第1主題のユニゾンで締めくくられる。

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