バッハ カンタータ 第106番 《神の時こそ、いと良き時》 1. ソナティーナ [ピアノ版]

  • 7 年前
J.S.バッハのカンタータBWV106から、第1曲『ソナティーナ』を取り上げるにあたり、 閲覧した様々な資料の中にあって、特に印象に残る動画がありました。
それはルーマニア出身のハンガリーの作曲家クルターグとその妻による、 同曲のクルターグ自身による、ピアノ・トランスクリプション版の演奏で、 夫妻が1台のピアノの前に並んで、4手で慎ましやかに演奏するというものでした。
クルターグは現在86歳になる、フランスのボルドー近郊に在住の現役作曲家です。
バルトークの影響のもと、音楽家人生を歩み始めたクルターグは、 民族主義とも西洋の前衛主義とも異なる、独自の作風を展開してきました。
1970年代から西ヨーロッパでも評価を集め始めたクルターグの音楽は、1980年代には発表作の成功で、世界的に認められるところとなり、現在では多くの演奏家にリスペクトされる、巨匠の作の地位を築いています。
来日していないこともあり、日本ではあまり知られていない作曲家ですが、1973年から継続中のピアノのための『遊び(Jatekok)』は、 子供から大人までが幅広く取り上げる作品になっています。
クルターグは『トランスクリプション マショーからバッハまで』という作品で、コラールを中心としたバッハ作品数曲のトランスクリプションを手がけています。
前述の夫妻連弾による『ソナティーナ』は、ここからの1曲です。
クルターグによる4手のトランスクリプション版は、2本のリコーダーのユニゾンを、オクターブに振り分けることで、音を当たらせずに表現していますが、ここではバッハの音譜をできるだけそのままに、音色だけはピアノに替え、ユニゾンは1音に絞り、ソロピアノ版としての演奏で録音してみました。

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