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00:00大徳寺の達中の一つ、真珠庵です。
00:15室町時代の前奏を一休の遺徳を称え、堺の商人が起進した達中です。
00:24一休はその晩年、朝廷の命により大徳寺の住職を務めました。
00:30真珠庵はいかにもその名が美しい。
00:38真珠とは何か禅の象徴が込められている言葉なのかと思ったりしたが、
00:45思い当たる転居がない。
00:46ないままに、事務を取る中年婦人に案内されて仏堂に入ると、
01:05天井から真珠を連ねた天蓋がぶら下がっているのである。
01:09こちらが真珠を切りまめた天蓋でございます。
01:17これは真珠です。
01:20婦人に言われて見上げ、目を凝らしてみたものの、
01:25歳月で黒ずんでしまっていて、すぐには真珠とは見えない。
01:29何しろ室町時代からここにかかっているのである。
01:35この真珠の天蓋は、一宮に深く消えした堺の商人が海外から取り寄せ寄進したものです。
01:52針一本の蓄えもしなかったという一宮の精錬さは、
01:56多くの人々の人望を集めていました。
01:58しかし、一方で一宮は、
02:05前奏の戒律を無視した奇抜な行動をとるそうでもありました。
02:12一宮は、その真骨頂よりも、
02:15ユーモラスな行情によって人に親しまれている。
02:21今日なおアニメになったりして、
02:24大げさでなく世界中の子供から親しまれているのである。
02:28ところが、その言動や詩集、教文集などから、
02:37一宮とは何者かということを考えていくと、
02:42一筋や二筋の縄では生きそうにない。
02:47一宮が生きた室町時代そのものが異常で、
02:52私どもの想像力ですぐさま手触りできるような時代ではない。
02:58室町といえば、
03:01現在の日本文化の源流がことごとくこの時代から起こっているのである。
03:08その点では、華麗この上もなく、
03:12思想においては、例えば禅があり、
03:15さらに芸術においては脳、狂言、
03:20また茶や信用式の絵画などが群がりをこった。
03:27世は幻である、
03:29と思いつつも、
03:31人々は生きる楽しさを知ったのである。
03:34一宮の生涯も、
03:38そういう世間の華麗さが背景になっている。
03:42柴さんは、
03:54一宮の時として理解しがたい行動は、
03:58世俗と結びついた当時の禅への批判だったと考えています。
04:02本堂に一宮書の一行物の墨石が、
04:10二服になって蓮のようにかけられている。
04:15諸悪幕差、
04:17修善奉行。
04:20言っていることはそれだけである。
04:24悪いことをするな、
04:25いいことをせよというだけの意味である。
04:28一宮という人は墨石のいい人だが、
04:34それにしても、
04:35この諸悪幕差は抜きん出ていい。
04:41隅々まで力があふれているだけでなく、
04:45絵も言えず優美なのである。
04:48さらに言えば、
04:50信じがたいほどに清らかな魂魄が、
04:53たかだかと天にかかっている。
04:55一宮は理解するよりも、
05:00むしろ感ずべき対象であるらしい。
05:05高度に感ずれば、
05:07驚くばかりに聴明である。
05:09ご視聴ありがとうございました。