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  • 2025/4/29
トランスクリプション
00:00その日は夕方から対談の予定があった
00:231月以来続いていた熱は注射で下げた
00:28隊長は良好に思われた
00:31ただ久々に洗った髪が思いのほか伸びているのが気にかかった
00:38この日が柴良太郎最後の雑誌対談となった
00:442時間を過ぎてなお休むことなく柴は語り続けた
00:48対談相手は柴たっての希望により経済評論家田中直樹
00:54テーマは重点問題
00:56それは柴が20年来追い続けてきた
01:01日本の土地問題の総決算だった
01:04きっと小説を書くことよりも現実に起こっていることの方に
01:12目がいったんでしょうね
01:14小説フィクションというような
01:19生塗りと言っちゃなんですけどもそういう形よりももっとストレートにぶつけたかったんじゃないでしょうか
01:30それがどんどんどんどん激しくなっていったんじゃないかな
01:35いやだからもうほとんど呪文のようにね
01:42こう思い詰めた顔で
01:46ずーっとこれでは日本がダメになるっていうことですよね
01:50一言で言うと
01:52これではダメになるもうあかんわとかそういう言葉しか言わないもん
01:58めいってきますよ
02:02要するにバブルを起こしたのは誰だというようなことよりも
02:12バブルを起こすことについての倫理観が我々の伝統になかったんだから
02:19今改めてそれを作るということが大事なもんですから
02:26作るについては痛みがいるんで
02:29税金でこの問題を処理するということは大きな大きな大きな倫理的資源になって
02:40日本経済を引き締めるだろうとか
02:42ただこれを選挙の争いの道具にされたくはないですね
02:50ここまで傷んでるんだぞという認識が
02:53国民全体が持たなければ
02:57昨日の続きで今日も生きてるという程度の生き方をこれからも続けていったら
03:04もう自利品も何もいつの間にか日本という国がなくなってしまう今回も
03:09そこまでの事態だと思うんで
03:11重戦問題は日本が戦後51年目に迎えた第2の経済的敗戦である
03:22そう言い残して千葉良太郎は9日後この世を去った
03:30ご視聴ありがとうございました
03:46ご視聴ありがとうございました
04:16晩年千葉良太郎は小説の触れを置き
04:21エッセイや対談講演の機会を捉えては時代への発言を続けた
04:27阪神大震災オウム心理教事件そして重戦問題に揺れる日本が
04:35千葉が最後に見たこの国の形となった
04:39テレビと雑誌それぞれ最後の対談相手となった2人が千葉良太郎の遺言を読み解く
04:48私は3度新聞や雑誌の対談させていただいたんですけれども
05:00終始私が終わった後いつも思ったのはですね
05:06柴さんという人は言葉と論理を非常に大切にする人だという思いなんですね
05:13例えばお米の問題を議論した時ありました
05:17その時に
05:20当時は米の輸入をですね一粒たりとも許さないという言い方をして
05:27私がですね論理的にもあれは実態にも合わないこういう言葉を平気で使う
05:33その政治家というのはどういうもんだろうというふうに
05:37申し上げたところですねこれはひどいと
05:40やっぱり旧軍部の崩壊過程にほぼ等しいその不調のような言葉を平気で使うと
05:50論理ももうデタラメだというふうに言われました
05:55それから2月に今年2月にお目にかかった時は
06:01重戦問題日本における土地問題の議論をしたんですけれども
06:06その時もこのやはりこの明晰な言葉
06:12そして積み重ねられた論理というものを書いて
06:16もうほぼ国が崩れ去る国としての背骨が曲がったり
06:25あるいはもう妖怪し始めているということは
06:28やっぱり言葉と論理に現れているという
06:31そういう柴さんの気持ちは僕は非常に強いというふうに思いましたですね
06:35柴さんがその論理と言葉の人であるということも去ることながら
06:41もう一つ別のことが私にはずっとあったんですよね
06:47それはどういうことかと申しますと
06:49例えば明治維新で活躍したさまざまなリーダーたち
06:53特に坂本龍馬とかですね
06:56最後の高森を描く時に
06:59しばしば柴さんの感想のような
07:02独白のような形でですね
07:03出てくる文句が私は忘れられないんですね
07:06それはどういうことかというと
07:08高森とか龍馬っていう人物はですね
07:11ものすごくその感情の容量が巨大だって言うんですね
07:16普通の人間が持っている感情とは
07:18くらいものならないくらいその大きな感情を持っていると
07:21それはその私的なものをですね
07:25その感情の中に溶け込ませて受け入れて
07:28それを公的なものに変えていく
07:31そういう感情の陽光炉みたいな役割をですね
07:35感情をたくさん持っている人間っていうのは
07:38本来的にそういうことを持っているのではないかと
07:42例えば国のために一心を捧げるといったような感情の
07:46出し方もあるでしょうし
07:48それから一般の名もない庶民の一人一人に対する思いやり
07:53っていうのも島さんにとっては感情なんですね
07:56そういう様々な種類の感情を全部抱え込んだ人間
08:02それが高森とかですね
08:04龍馬のようなああいう指導者たちだったと
08:06そうした私と公との間に
08:10見事にこのつなぎをつけた人たちの系列が絶えて
08:15その後はですね感情の容量も小さな
08:20受け入れ容器としてはとても盛り込めないような小さなものになり
08:24そしてどんどん心が貧乏になるって言いますか
08:29貧しくなっていく体系がある時期から生まれ
08:32それが51年前の敗戦につながったと
08:37この断絶が断絶に関わって私はしばし感が成立しているのかなというふうに思っておるんですけどね
08:46その明治以降100も30年ほど経ちますけれども
08:51いくつかこの130年の中にも断絶がいくつもあって
08:56幕末からおそらく日露戦争まで
09:00日露戦争から第二世界大戦の敗戦に至るまで
09:03それからまた50年という
09:05一回歴史がちぎれて
09:09ちぎれてまた第二世界大戦の
09:12それなりにもう一度人々の持つエネルギーが盛り上がってきて
09:16それがもう一度病に至る
09:19病に至るそして貧しくなるという
09:22そのリズムというものを感じておられたのかなというふうに思いましたけどね
09:39まだまだ日本にはたくさん土地がありますよ
09:43これを新幹線に結べば
09:45補足道路で盗めば
09:47飛行機で盗めば大したことはないじゃありません
09:50そうすれば
09:52周りに少しは
09:54緑のあるところを
09:56考えればどうするんですか
09:58そこで日本列島改造というのが出てくるんですよ
10:05田中角栄が逮捕された頃
10:07柴良太郎は自身の企画による対談集の最終構成に追われていた
10:13豊かさという言葉と引き換えに裂かれていく日本の国土
10:20土地政策への疑問を
10:22柴良は自ら探し尋ねた人々との対談によって
10:26世に問おうとしたのである
10:28資本主義は
10:32あくまでも物を作ってそれを売ることによって利潤を売るものであり
10:37企業の土地投棄や土地操作によって利益を売るなどは何主義でもない
10:43がその刺激が日本人の経済意識を大きな部分において変質させ
10:50民族を挙げて不動産屋になったかのような勘を呈し
10:55本来生産もしくは基本的には社会存立の基礎であり
11:01さらに基本的に言えば
11:03人間の生存の基礎である土地が
11:06陶器の対象にされるという起源症が起こった
11:10大地についての不安は結局は人間をして
11:16自分が属する社会に休んじて身を託して行けないという
11:20基本的な不安につながり
11:22私どもの精神の重要な部分を荒廃させた
11:27誠に迷惑な話で
11:30どうにも休んじてこの社会に住んで行けないという
11:33いたたまれぬ気持ちが
11:35私に土地のことを考えさせることになった
11:39ともかくも悲鳴のようなつもりでこの州を出した
11:44そのことは土地を公有にしなければ
11:48世の中のすべてが崩れてしまうという
11:51私なりの危機意識と絡んでいる
12:02柴山は最後の20年ほどは
12:04土地は公に戻すべきではないかと
12:07土地の修正はあまりにも弊害が多いという
12:12お話をされておりました
12:14私もなぜじゃあそういうことに日本がなったのか
12:18日本にそもそもどういう結果があったんだ
12:20ということになるわけですが
12:22一つはですね
12:24高度成長期
12:26歴史的にどの社会でも高度成長期というのはあるんですが
12:30日本の場合はやっぱり1960年代に入ってからが
12:33高度成長期なんですが
12:35いわゆる先進国というのはもうちょっと早くあるわけですね
12:39高度成長期が
12:41成長率が非常に高いと
12:43土地の値段とやっぱり上がってまして
12:45アメリカなんかでも19世紀の末から20世紀の初めにかけては
12:50大都市の土地がものすごく上がる
12:52上がった時にですね
12:54それをどうしようかっていろんな工夫が出てくるわけで
12:57例えばアメリカでは
13:01ごく普通の人がですねおかしいと
13:04その地主さんは何の努力もしないのに自分の持ち分がですね
13:08土地の持ち分の評価がどんどん上がってしまって
13:10富がそういう地主さんに行くのはおかしいと
13:13地代が上がるということは
13:16それは他の人の努力であって
13:18鉄道を引くとか一生懸命商業活動を行うとか
13:21工業活動を行うということの成果が
13:23結局その土地を使用するその需要が増えてきて
13:29その富が地主さんだけに行くのはおかしいんで
13:33その土地課税をしようと
13:37地代っていうのを公で取ってしまうという提案が出てきます
13:42そういう意味では土地の問題を
13:45システムとして
13:48すくい上げて
13:52それをちゃんとコントロールするという仕組みを
13:54いろんな人が提案するわけです
13:56その土地を当期の対象にするのがおかしいというけど
14:00どこでもやるのに
14:01なぜ日本でできなかったのかと考えてみると
14:04その前の戦前戦中の歴史が過酷すぎたと
14:10当時の日本人というのが
14:12私は遅れを取った原因ではないかと
14:16それで国っていうのはもう非常に嫌なものだと
14:21最後の段階ではもう赤髪を配ってですね
14:24それぞれの家庭から
14:26兄を父親を引きずり出していった
14:30そういう国っていうものに対してもう嫌だと
14:34そんなものは脇にやっていこうと
14:38それよりは自分の私っていう領域の中で経済活動すると
14:42こっちの気分が強くてですね
14:46公という公というものを排除しちゃいましたから
14:50これが土地の問題をですね
14:52論ずるきっかけを流した
14:54しかしそれをほっといたおかげでですね
14:56背筋が歪んできたと
14:58今ちょっと田中さんの話を伺ってはっと思ったのは
15:01本当はその国家という世界に対して
15:04もう一つ国土という世界があって
15:07その国土をもう少し細分化していくと
15:09それぞれの人々のふるさとであったり
15:12自分の家であったりするわけですけれども
15:14それを今度は私のものにしてしまうわけですね
15:18本来それもまた公のもんですよね
15:20じゃあそういう変化が一体なぜ起こったのか
15:23ということを考える場合にですね
15:26私はやっぱりその宗教との連関関連がやっぱり大事ではないかと
15:33前から思っておりまして
15:34つまりウェーバーの言う宗教と経済の関係ですけれども
15:40一生懸命働いて
15:42金券貯蓄して
15:44それを資本投下して
15:46そして経済的な理人を得る
15:48そういう人間はこれは神に読みさらえる
15:52天国に生まれることができる
15:54大きいキリスト教徒である
15:56こういう考え方がありますよね
15:57ウェーバーに
15:58確かにですね
15:59ヨーロッパにおける資本主義勃行の時に
16:01山口さんがご説明されたように
16:03ただ自分はひたすら努力するだけ
16:06こういう絶対的な仮面がありますね
16:09ヨーロッパにはその神というものは
16:12まさに市場マーケットであって
16:14マーケットの中でとにかく努力する
16:16それは結託なのか
16:18神の前において結託できなく
16:20その罪大きい人間がですね
16:23結託してなんかその神からのものをですね
16:27遮断するとか避けようなんてことは
16:29一切その出来ない
16:30ところが日本の場合はですね
16:33いや組んでやれば
16:35仲間内で組んでやれば
16:37これで仕切れるではないかと
16:39いうのが日本流の経済主義だった
16:43それがまあそれで
16:46いや仲間お互いがその仕事を配り合う
16:50仲間でうまくやるっていうのは
16:52その市場を作る一つのもとですから
16:55それが時にはと言われたりですね
16:58強調と言われたりするわけですが
17:01いずれにも後ろですね
17:02神中黒市場市場でなんですけどね
17:06神そして市場の前で結託してるわけですね
17:10このパターンでずっと来た
17:14日本の近代化っていうか
17:17経済発展っていうものがですね
17:19ここへ来て
17:21業者仲間内で組んでりゃ済むのかと
17:25やっぱりそこにおける宗教心
17:28あるいはもう一つの神と言ってもいいんですが
17:31その競争をひたすら
17:35孤独な一人で市場に向かうという
17:39この緊張に耐えることが経済心なんだと
17:43今言わなければならないような状況だというふうに
17:48私は思ってるんですけどね
17:51確かにそうです
17:54ただですね
17:57効果不効果
18:00その
18:01キリスト教社会というか
18:03ヨーロッパ社会におけるような神が
18:06我々の伝統文化の中にないんですよね
18:09いわゆる超越心がいないわけですね
18:12とにかく超越心がいないわけですから
18:14超越心のもとでっていうふうには問題は立てられない
18:18どうしたらいいのか
18:20日本人ってのはやっぱり神を信ずるよりは
18:22人を信じてきた人間ですよ
18:24一種の人信仰ですね
18:26日本の日本人の宗教っていうのは
18:28神も仏もあるものかって
18:30誰でもみんな一度は言ってると思います
18:32やっぱり人に重要な役割を期待している
18:37しかしその人間はですね
18:39神ではないわけですから
18:41常に裏切るわけですよね
18:44そのジレンマっていうのは
18:46これにやっぱり日本人になって
18:47昔から気がついてきたと思います
18:49そのジレンマはどう乗り越えるか
18:52それはですね
18:53やっぱり企業家であってみ
18:55政治家であってみ
18:57あるいは一人の知識人であってみ
19:00その人間がどれだけ自分を無にすることができるか
19:03むしろ精神を獲得することができるか
19:06どうか
19:08これがギリギリいっぱいの基準だったと思いますね
19:12だからそれある限り超越心がなくとも
19:15市場に対しても
19:17ある程度やっぱり抑制も取れたですね
19:19行動が取れたような気がしますね
19:21だから
19:23その一人一人が自らに対して
19:27自らが主人公
19:29釈迦に
19:30その主人公になるんだけど
19:32おっしゃるように
19:34規律とか
19:35その
19:36ある種
19:37自己抑制の何か枠組みがなければ
19:40それはただ単に
19:41その
19:43欲望民主主義
19:45みんな一人一人が欲望を持ってる
19:47欲望が全部展開すれば
19:49それでいいではないか
19:50と言わんばかりにやってきた
19:53この
19:54欲望民主主義の
19:56なれの果て
19:57という面がある
19:59それは本来は
20:00言われたように
20:01宗教心なのか
20:02やっぱり
20:03
20:05というところで
20:06仕組みがいるのか
20:08あるいはそうした
20:09抑制の
20:10その
20:13ケーキを
20:15内側に持ってる
20:16何かがいるんだったんでしょうが
20:17それが外れてて
20:20欲望全面展開の中で
20:22全体の
20:25経済全体を支えなければいけない
20:27背骨の方が
20:29曲がってきてしまった
20:32だから
20:33その根っこのところが
20:34腐っていると
20:35その腐った根っこを
20:36排除するためには
20:39もっと深い
20:42ところで
20:43一旦カオスの状態に
20:44返すっていう
20:45そういう
20:46操作というか
20:47行動が必要になっていく
20:49それは横断的にですね
20:50例えば社会主義
20:51イデオロギーといったようなもので
20:52連帯できない状況ですよ
20:54もうイデオロギーの終焉の時代ですから
20:56そうすると個別的に抵抗するか
20:58いい申立てをする以外にない
20:59というところから
21:00カルトが出てきて
21:01
21:03それは
21:04どうも
21:05日本の伝統的な社会
21:07これまでの社会では少なくても
21:08そういう考え方根付かなかったんですけど
21:10それはポーンと
21:12例えばオウム心理教のような事件で
21:13出てきたと
21:14ちょっと外出て
21:19ちょっと外出て
21:21ガス出てるから
21:22土地と木が蝕んだ
21:25日本人の精神風土
21:27その危うさは
21:29戦後50年の切れ目に次々と襲いかかった
21:34これがブッダだとか
21:37俺がキリストだという人は
21:39やはり精神医学の対象になると思うんですけども
21:43抜け抜けといった場合には成功しますね
21:46成功します
21:47宗教というのは
21:49向こう側あたりでできた宗教というのは
21:52どうも人間を飼い慣らすシステム
21:55人間というのは飼い慣らされないと
21:57羊やヤギや牛や馬のように飼い慣らされないと
22:02飼い慣らしのシステムとして
22:07イスラム教
22:08あるいはその前からあるイダヤ教
22:11次いでキリスト教というのが出てきたと思うんですが
22:14これはやっぱ大きな思想を生む根源になるんですけども
22:19飼い慣らしのシステムとしては
22:23日本では仏教が奈良朝以前に入れられて以来
22:29別に飼い慣らしのシステムとして
22:32仏教が入ってきたことはなくて
22:34どちらかというと
22:36荘厳なものが入ってきた
22:38世の中にはいい宗教と悪い宗教が
22:41二つあるんだという風に考えるのは
22:44非常に僕は危ないと思うんです
22:46宗教には本来そういう
22:47正気の面と狂気の側面が
22:51やっぱり背中の
22:52それにもかかわらず
22:53やっぱり宗教の問題は
22:55これからの世紀にかけて
22:58まだまだ大きな
23:00紛争の種をもたらしたり
23:02特に原理主義
23:04つまり昔に変えろ
23:06原型に変えろ
23:08マホメットの頃に変えろ
23:10ファンダメンタリズムというのは
23:12一番過激な精神なものですから
23:15新蘭の昔に帰るときには
23:18もうすっかり革命書き通りに
23:20同じ本案の中でもなるようにですね
23:23つまり800年を超えたら
23:26もうすごいウィビドリー
23:31その瞬間はなりますから
23:33だからそれが
23:36ファンダメンタリズムということの
23:38恐ろしさですけれども
23:40歴史を無視するわけですから
23:42歴史と現実を無視して
23:44飛び越えてしまって
23:45そして現実を全否定するわけですから
23:48だからそれは
23:50おそらく次の世紀の
23:53人類を苦しめていく
23:56あるいは人類を苦しめるだけでなくて
24:00やっぱり考え込ませていく
24:02重要な問題でしょうね
24:05そうですね
24:06それを抑えるために
24:07例えば日本の我々の宗教伝統を
24:10どう国際社会に生かすか
24:12本当にそういう
24:17つまりどっかの山に入って
24:20谷間を見て
24:21そこに一種のこの美しさとか
24:25懐かしさとか
24:27懐かしさっていうのは
24:28もう千年前の懐かしさのような
24:30懐かしさを感じたりする
24:32という精神の中に
24:35日本人の宗教感覚が
24:37入っているわけですから
24:39そういう割合いいい感じの
24:42つまり世界の
24:45世界に一つの調和を与えるというと
24:49おこがましいですけど
24:50調和を与えるという役割に
24:54非常にシャイな民族ですけども
24:57そういう役割を
25:00やってみないかということは
25:02若い人に言えそうですね
25:04日本のね
25:05そうですね
25:09その
25:14柴さんは根本的にその
25:15宗教っていうのは
25:17人間をですね
25:20飼いならす
25:22そういう独特の装置だ
25:24って言いますかね
25:25文化的な装置だということを
25:26繰り返し言っておられました
25:27とりわけ
25:28柴さんその時に
25:30念頭に置かれていたのは
25:33おそらく
25:34キリスト教とかイスラム教
25:35というのは一神教的な世界だろう
25:37のことだろうと思いますけれども
25:39それなりも
25:41一神教の問題だけではなくてですね
25:44アジアの多神教的な
25:45多神教的な半信論的な世界においても
25:47宗教っていうのは本来
25:48人間を
25:49いい意味で
25:50飼いならす装置ではないかと
25:52いうことを言っておられて
25:53私なるほどその通りだなと思って
25:55伺ったんですよね
25:57ところが
25:58ところがその
25:59我が国でその
26:00オウム真理教のような事件が起こってですね
26:02人間をその
26:04いわば本質的な意味で
26:07飼いならすべき宗教がですね
26:09かえつその人間を
26:11犯罪的な行為に追いやったりですね
26:14破滅的な状況に追い込んだりする
26:16そういうことを
26:18日本のオウム真理教という
26:20宗教団体がやってしまったということに
26:22非常にショックを
26:24覚えておられたような感じがいたします
26:27我々はやっぱり伝統的な
26:28日本の価値観とか宗教観というもの
26:30その
26:32意味があるのかないのかの
26:34検討から始めなきゃいけませんけれども
26:36そういうものにもし価値があるとすれば
26:38どういうものを取り出してですね
26:40これからのつまり
26:42我々のその
26:44生きる支えにするのかっていったようなことをですね
26:46もうそろそろ考えなきゃならないところに来て
26:49まあその
26:51日本人というのは
26:53よく言われますけれども
26:55非常に好奇心の強い国民で
26:56外来の文化とか思想とか
27:02技術とか宗教というものを
27:04実にそのどんらんに
27:06重要してきた民族だろうと思いますね
27:08そういうものを自分の背丈に合わせて
27:10実によく肝骨脱退したり
27:12消化してきたと思うんですけれども
27:14それを宗教のレベルで考えますと
27:16私はですね
27:18日本人が授業の中から一番
27:20大事なものとして受け取ったものは
27:22収容ということかなと思ってますね
27:26自己収容といいますか
27:28それはその奉公をして苦労をして
27:31そして立心出世をしていくという
27:33それが経済発展につながるというところまで
27:35関わるわけですけれども
27:36日本はとにかく主要ということだと
27:39古今の基盤のところがおろそかになると
27:41やっぱりダメなんだって
27:42いくら成功してもダメなんだという
27:44そういう倫理観みたいなものは
27:46かつてはあったような気がしますね
27:48それが一つですね
27:50それからそれに対して
27:52仏教から一体何を日本人は
27:54そのエッセンスとして受け取ったかというと
27:56私はやっぱり無とか苦とかっていう感覚ですね
28:00日本人は非常に無とか苦という言葉が好きなんではないかと思いますね
28:04この言葉を明治以降近代文明が様々な形で
28:07入ってくるときにいろんな形で
28:09この無とか苦という言葉をくっつけて
28:11造語をしたりですね
28:13イメージを膨らましてきたと思いますね
28:15仏教も様々な論理とか
28:19教義体系を持っているわけですけど
28:21ほとんどそんなものに目もくれなかった日本人
28:23それは無の感覚とか苦の感覚だと思いますね
28:26これは私は日本人の重要な遺産だと思っております
28:29それに対して
28:30それでは明治以降
28:33ヨーロッパから一体日本人は何を一番大事なものとして受け取った
28:37これは問題なんですけれども
28:39それは個人主義かなって気がしますね
28:42やっぱり日本人の個人主義っていうのは
28:45集団主義と共存するような形での独特の個人主義だと思いますけれども
28:49ただその個人主義が暴走しですね
28:52欲望をそれに添加して膨らみ始めますと
28:55今回のような先ほどの問題になってきます
28:59欲望資本主義のなれの果てを我々今経験しているわけですけれども
29:05問題はそういう日本人が好きな
29:09ヨーロッパから受け取った個人主義という考え方を
29:11どのように先ほど言った
29:12そういった修養という自教的なものの考え方で裏落ちするか
29:16あるいは空とか無といった
29:18ああいうその仏教的な感覚でそれを裏付けていくか
29:22そこではだけど要求されるのは
29:26そういう日本人の中に網がかかるって言いますか
29:32その共通の言葉と
29:35そして積み重ねられた論理でもって
29:39どこまでその共通の枠を広げることができるのか
29:42いうその努力が一方でないと
29:45もうカルトがもう足はこっちぐらいでできてしまう
29:50それを束ねる原理はもう何もなくなると
29:52こういうことになりますね
29:54ですから今の重戦問題なんてのは
29:59本当にそういう動きを刺激するような方向にしか
30:03働かない事件ですよねこれは
30:06個人で債務長官になった方も当然いるわけですね
30:10その資産が例えば株とか土地が非常に高いときに
30:14借金をして買った
30:16株は半分になる土地は3分の1になってますから
30:19そうすると借金だけは残ってますので
30:20気持ちの上では全てご破産にしてくれれば
30:25沙波長官はふっといますからね
30:27特性例でも何でも要求したいという中で
30:30もし政府がでだらめな基準でこの問題を処理すれば
30:35それはもう火をつけますね
30:37なぜ特定のグループだけそうやって保護するんだという
30:41それは本当に巨神なのか無視なのかということがですね
30:46問われてて
30:47ひょっとしたらそこが
30:51崩れ始めているかもしれないということになると
30:54次の展開では
30:56この
30:58カルトの
31:00暴発はまだあるということになりますね
31:04そうですね
31:05どうでしょうか
31:07やっぱりそういう日本近代史の
31:09さまざまな起伏
31:10いい天変を見ながらですね
31:13最後まで柴さんが愛し続けたのは
31:17この日本という国土だったような気がしますね
31:21この国の形といったような連作がございますが
31:28その
31:29国土の問題については
31:31最近の重戦の問題に至るまで
31:33土地に対する日本人の感覚が狂ってしまったということで
31:37これはもう
31:38田中さんがずっと論じておられることですし
31:41その
31:42国土に対する柴さんの思いっていうのが
31:48私は本当に痛いほど分かるんですよね
31:52その
31:56柴さんはあのエッセイの中で
31:58自分はその
32:00国家
32:01とか
32:03その
32:04カントリーについて
32:05あまり語りたくない
32:06それよりも
32:07私自分が
32:08その重視しているのは
32:10
32:11土を国と呼んだ
32:13そういう意味での国土に対するこだわりだったと
32:16私は解釈するんですけどね
32:19日本という国家の中心は
32:21例えば東京であったり
32:22皇居であったり
32:23霞ヶ関であったりするわけですけれども
32:25どうしようやっぱり国土の中心っていうのは
32:28私にとっては例えば富士山ですね
32:31それは駿河の富士が
32:34象徴しているわけですけれども
32:36日本全国どこに行きましても
32:38何々富士っていうのはあるわけですよね
32:41あれはやはり
32:43日本人にとっての国土の
32:45中心的シンボルだったわけで
32:47僕なんかもう海外に出て
32:49今は成田ですけども
32:51前は羽田ですね、帰ってくると
32:53富士山を見て
32:54ああ、俺は日本に帰ってきたんだと思いました
32:58東京に隣立するビルを見て
33:00日本に帰ってきたとは全然思わないけれど
33:02富士山を見ると本当に心の底からほっとする
33:05富士山を見たり、菜の花畑を見たり
33:08ふるさとの国土の風景、様々な光景を見ておりますと
33:14いろんな地理があくたにまみれていても
33:18そういうふるさとの風土、国土を見るとですね
33:21やっぱり心が現れるような体験をする方が非常に多いだろうと思いますし
33:25そういう時に何というか
33:28無心の状態といいますかね
33:30無視の状態になる瞬間があります
33:33無視の状態であり続けることは非常に難しいわけですけれど
33:37千葉さん自身がそういうことを努力目標にされておられたような気がしますね
33:42同時にですね、この無視の精神というものを
33:46いつも大事にしようとしてきたところに
33:49ひょっとすると日本人の倫理観の原点みたいなものがありましてですね
33:54そういうものが芝文学の定流には流れていて
33:57それが芝文学を読む人を勇気づけたりしてきたのではないか
34:02慰めてきたのではないかと思いましてですね
34:04もうそうなるとこれは思い違い深読みかもしれませんけれども
34:10芝文学というのは現代日本人にとって
34:13宗教とか倫理の代わりといいますか
34:16大体物の役割を果たしていたのではないか
34:19それが国民文学たらしめていたのではないかというふうに思うんですけどね
34:24この国の行く末はどこか
34:30芝良太郎は日本人への残された希望を
34:36未来に生きる子どもたちに託した
34:40小学6年よう国語教科書に載せられた一文
34:45その執筆に芝は半年を費やした
34:50一番最初にいただいた元原稿はこれなんですね
35:00青が入っているんですね
35:04これが青ですよね
35:05何回も読み直されて
35:10気に入ったところで筆を置かれたという感じなんでしょうけれど
35:16本が出来上がった時にお礼を言いに行ったんですね
35:22そうしましたら対策を一本挙げたような感じだというふうにおっしゃられましたし
35:27ご自身で書かれたこの21世紀に生きる君たちへという文章が
35:34子どもの中に吸い込まれていくんじゃないかということで
35:38それで恐ろしくて恐ろしくてという
35:41そういう言葉もおっしゃっておられました
35:4221世紀に生きる君たちへ
35:52柴良太郎
35:56私は歴史小説を書いてきた
36:02もともと歴史が好きなのである
36:06両親を愛するようにして歴史を愛している
36:09歴史とは何でしょうと聞かれるとき
36:14それは大きな世界です
36:16かつて存在した何億という人生が
36:20そこに詰め込まれている世界なのです
36:23と答えることにしている
36:25私には幸いこの世にたくさんの素晴らしい友人がいる
36:31歴史の中にもいる
36:34そこにはこの世では求め難いほどに素晴らしい人たちがいて
36:39私の日常を励ましたり
36:43慰めたりしてくれているのである
36:46だから私は少なくとも2000年以上の時間の中を
36:51生きているようなものだと思っている
36:54ただ寂しく思うことがある
36:58私が持っていなくて
37:00君たちだけが持っている大きなものがある
37:04未来というものである
37:07私の人生はすでに持ち時間が少ない
37:12例えば21世紀というものを見ることができないに違いない
37:17君たちは違う
37:2021世紀をたっぷり見ることができるばかりか
37:25その輝かしい担い手でもある
37:28もし未来という街角で
37:30私が君たちを呼び止めることができたら
37:34どんなにいいだろう
37:36田中くん
37:38ちょっと伺えますが
37:40あなたが今歩いている21世紀とは
37:43どんな世の中でしょう
37:45そのように質問して
37:47君たちに教えてもらいたいのだが
37:50ただ残念にも
37:52その未来という街角には
37:55私はもういない
37:57だから君たちと話ができるのは
38:00今のうちだということである
38:03もっとも
38:05私には21世紀のことなど
38:07とても予測できない
38:09ただ
38:11私に言えることがある
38:13それは歴史から学んだ
38:16人間の生き方の基本的なことどもである
38:19昔も今も
38:22また未来においても変わらないことがある
38:24そこに空気と水
38:27それに土などという自然があって
38:30人間や他の動植物
38:32さらには微生物に至るまでが
38:35それに依存しつつ生きているということである
38:38自然こそ不変の価値なのである
38:42歴史の中の人々は
38:45自然を恐れ
38:47その力をあがめ
38:49自分たちの上にあるものとして
38:51身を慎んできた
38:54この態度は
38:56近代や現代に入って少し裏いだ
38:59人間こそ一番偉い存在だ
39:03という思い上がった考えが頭をもたげた
39:0720世紀という現代は
39:10ある意味では
39:12自然への恐れが薄くなった時代といっていい
39:15同時に
39:17人間は決して愚かではない
39:19思い上がるということとは
39:21およそ逆のことも併せ考えた
39:24つまり
39:25私ども人間とは
39:28自然の一部に過ぎない
39:30という素直な考えである
39:33ある意味では
39:35平凡な事実に過ぎないこのことを
39:3820世紀の科学は
39:40科学の事実として
39:42人々の前に繰り広げてみせた
39:4520世紀末の人間たちは
39:48このことを知ることによって
39:50古代や中世に神を恐れたように
39:54再び自然を恐れるようになった
39:57おそらく
39:59自然に対し
40:01威張り返っていた時代は
40:0321世紀に近づくにつれて
40:05終わっていくに違いない
40:08そうなれば
40:1021世紀の人間は
40:12より一層自然を尊敬することになるだろう
40:15そして
40:16自然の一部である人間同士についても
40:20全世紀にもまして
40:22尊敬し合うようになるのに違いない
40:25そのようになることが
40:27君たちへの私の期待でもある
40:31さて
40:33君たち自身のことである
40:35君たちはいつの時代でもそうであったように
40:39事故を確立せねばならない
40:42自分に厳しく
40:43相手には優しく
40:46という事故を
40:48そして素直で賢い事故を
40:51私は
40:53人という文字を見るとき
40:55しばしば感動する
40:57斜めの角が互いに支え合って
41:01構成されているのである
41:03そのことでも分かるように
41:05人間は社会を作って生きている
41:08社会とは支え合う仕組みということである
41:14原始時代の社会は小さかった
41:17家族を中心とした社会だった
41:20それが次第に大きな社会になり
41:23今は国家と世界という社会を作り
41:27互いに助け合いながら生きているのである
41:29自然物としての人間は
41:33決して孤立して生きられるようには作られていない
41:37助け合うという気持ちや行動のもとのもとは
41:42いたわりという感情である
41:43他人の痛みを感じることと言ってもいい
41:48優しさと言い換えてもいい
41:51いたわり、他人の痛みを感じること
41:55優しさ、みな似たような言葉である
41:59この三つの言葉は
42:02もともと一つの根から出ているのである
42:05根と言っても本能ではない
42:07本能ではない
42:09だから、私たちは訓練をして
42:12それを身につけねばならないのである
42:15その訓練とは簡単なことである
42:18例えば、友達が転ぶ
42:21ああ、痛かったろうな
42:23と感じる気持ちを
42:25その都度自分の中で作り上げていきさえすればよい
42:29この根っこの感情が
42:32事故の中でしっかり根付いていけば
42:34他民族へのいたわりという気持ちも湧き出てくる
42:38君たちさえそういう事故を作っていけば
42:4321世紀は人類が仲良しで暮らせる時代になるのに違いない
42:51君たち
42:54君たちは常に晴れ上がった空のように
42:59高々とした心を持たねばならない
43:01同時に、ずっしりとたくましい足取りで
43:06大地を踏みしめつつ歩かねばならない
43:09私は、君たちの心の中の
43:13最も美しいものを見続けながら
43:16以上の事を書いた
43:18書き終わって、君たちの未来が
43:22真夏の太陽のように輝いているように感じた
43:26自分に感じた
43:56ご視聴ありがとうございました

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